郡山駅前

望まない妊娠を避ける、緊急避妊とは?

女性のための医療コラム

「望まない妊娠を避ける、緊急避妊とは?」
「コンドームが破損してしまいました。何か避妊の手立てはないのでしょうか?」と聞かれることがあります。高確率で妊娠を防止する方法のひとつで、最もポピュラーな方法は緊急避妊ピルです。どのように作用するかは月経周期の時期によって異なりますが、排卵の抑制、受精を妨げる、受精卵の子宮への着床を阻止するなどのメカニズムが働いていると考えられます。避妊効果があれば10日以内に生理が来ます。3週間しても生理が来ない人は妊娠の可能性があります。
緊急避妊ピルで使われるホルモン剤は、一般に使われているピルと同様なホルモン剤ですが、多量のホルモンを一度に服用する点が異なります。具体的には「中用量ピル」の4倍、「低用量ピル」の8倍に相当します。そのため、飲んではいけない人、慎重に使用した方が良い人がいます。避妊効果は、適正に使用した場合98%とかなり有効です。
副作用としては、嘔気、嘔吐、頭痛、めまい、腹痛、乳房緊満などがありますが、おおむね、24時間以内でおさまるようです。ですが、飛行機や車で長時間移動をする際に、脳血栓症や肺塞栓症=エコノミークラス症候群が起こりやすくなる場合があります。エコノミークラス症候群とは、水分欠乏に加えて、座りっぱなしの姿勢のために足の静脈に血栓ができ、血栓症を引き起こします。緊急避妊ピルはそのリスクが高まるので、服用の際は気を付けましょう。
最初のピルは性行為後、72時間以内に服用しなければなりません。私の場合は、リスクを回避するため、まず、1)現在妊娠していないことを確認します。さらに、2)癌、糖尿病、高脂血症、極端な肥満、静脈瘤や静脈血栓症の有無、3)喫煙の有無、4)年齢(思春期の方には処方しません)、などをチェックします。これまで知られている限り、緊急避妊に失敗して妊娠しても、ピルのせいで異常妊娠であったり、赤ちゃんに異常があったりということはありません。ですが、緊急避妊ピルを頻繁に使用することも体に負担になります。望まない妊娠を避けたい方や不安な方は、医師にお尋ねください。

お話をうかがった先生

170524_0富永國比呂先生
1975年、岩手医科大学医学部卒業、東京衛生病院産婦人科医長を経て、米国ロマリンダ大学大学院博士課程修了。日本産科婦人科学会専門医、日本性感染病学会会員、医学博士、米国公衆衛生学博士(Dr.P.H.)、国際個別化医療学会幹事、Personalized.Medicine Universe査読委員。

※この記事はaruku2018年9月号に掲載したものです。

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