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二本松市

130年以上の伝統を誇る漆と箔押しの技術から誕生した、メイドイン二本松の革製品ストーリー。(篤工房)


連日うだるような暑さが続いていた2019年8月。賑やかな蝉時雨が鳴り響く中、二本松市にある小さな工房には、黙々と漆塗りの作業に没頭する職人さんの姿がありました。工房の名前は「篤工房」。獅子頭や神楽面といった祭事や伝統芸能に使われる道具の修復を行う「神楽工房 はしもと」を営んでいた橋本篤さんが新たに立ち上げた革ブランドの工房です。
古くは飛鳥時代から行われていた漆皮という革を漆で塗り固める技術を用いて作られた革製品は、手になじむ温かな革の質感と金箔を箔押しした独特のデザインが特徴。伝統と新しさが融合し、他の人と同じものは持ちたくないこだわり派や革製品好きにはたまらない逸品です。そんな唯一無二の革製品が生まれた背景には「新しい革製品の魅力を二本松から発信していきたい」という橋本さんの強い想いがありました。

STORY1
なぜ仏具店が革製品を作ることになったのか?


もともと城下町として栄えていた二本松市。初代藩主の丹羽光重が城の改装を行った際に、数多くの建具や調度品を作らせたことから、家具づくりが盛んに行われ、現在も市内中心部の竹田坂には、歴史のある家具店や仏具店が軒を連ねています。橋本さんも130年続く『橋本仏具彫刻店』に生まれ、漆の世界の奥深さに魅せられ、漆塗りの本場金沢で人間国宝のもと、修業を積んだ生粋のモノづくり職人です。


故郷の二本松に戻り家業を継ぐ傍ら、芽生えていったのは漆をもっと身近に感じてもらいたいという想い。ただ、伝統芸能の道具に触れる機会のある人はそう多くないのが実情。また、本格的な漆器となると完成までに130もの緻密な工程を要するため、かなり値が張ってしまいます。そこで注目したのが革でした。「きっかけのひとつになったのが亡くなった父が使っていた革製の名刺入れです。譲り受けて今も変わらず使い続け、もう19年になりますがこれだけは手放せません。革は持ってからが持ち手との物語のスタート。使い方のクセでどんどん愛着のある経年変化が楽しめます。革に付いた傷も良い思い出、そんな風に長く使えるものに自分の技術を活かせないかと考えたんです」。こうして橋本さんの漆を使った革製品づくりが始まります。

STORY2
繊細すぎる漆VSこだわりすぎる職人


長年、漆塗りや蒔絵(漆で絵や文様、文字などを描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を蒔いて定着させること)の技術を磨いてきた橋本さんですが、革に応用するのは初めてのこと。漆塗りや蒔絵に最適な皮を開発するため、まずは地元の業者に飛び込みで依頼をしたといいます。「革素材の原料皮は通常オイルが塗られていますが、それだと漆を塗っても乾かなくなってしまいます。そのため、特製の革を提供してもらえるよう、何度も試行錯誤を重ねました」と橋本さん。まさに下町ロケットの世界です!


とはいえ本当に苦労したというのはここから先。革に漆をどこまで染み込ませるかが最も大変だったといいます。「染み込ませすぎると漆が厚くなり硬くなってしまうため、革の質感が損なわれてしまいます。だからといって足りないと金箔が定着してくれません。目指したのは革の質感を残しながら金箔が定着してくれるベストの割合です。それを見つけるまでに何回試したことか分からないですね(笑)」。


そう言いながら橋本さんが見せてくれたのが当時の試作品。右は漆を染み込ませすぎて硬くなってしまったものだといいますが、目で見ただけでは違いが分からなかったのはもちろん、実際に触ってみても「本当にこれが失敗なの?」と思うほど、ほとんど差が感じられません。繊細な漆以上に繊細なこだわりを持つ橋本さん。こうした開発作業を『神楽工房』の仕事と並行して行っていたというから、そのエネルギーには驚かされます。

STORY3
実体験に根ざした「あったら嬉しい!」革製品


こうして様々な紆余曲折を経て、初めての完成品ができたのが2019年の5月のこと。それは革製品としてお馴染みの財布やバッグではなく、本に挟む「しおり」でした。その後もブックカバーやタブレットカバー、名刺入れなどを開発。実は、橋本さんが手がける革製品には「自分が欲しいと思ったものや今まであまりなかったもの」というルールがあります。金沢時代には月に25冊は読破していたという読書家で、革製品づくりのきっかけとなった名刺入れにも思い入れがあるという橋本さん。「自分が欲しいと思うものだからこそ、細かい部分までもっとこうしたらいいのでは?というアイデアが生まれるんです。例えば、スケジュール帳の厚みに合わせてしおりの長さも変えられるようにしたり、名刺入れの幅やマチの部分の厚みなどもこだわっています」。実体験に基づいた商品だからこそ、使い勝手も良くより愛着が持てるというのに納得!また、オーダーメイドにも応えてくれるので、自分らしさを追求できるのも篤工房ブランドの魅力です。

STORY4
メイドイン二本松への想い


そんな橋本さんが現在開発に当たっているのが何と革製の器。革特有の匂いがしないようにすることや、洗っても変わらない耐久性を持たせることなど課題はあるそうですが、それでも橋本さんは楽しそうに話します。「二本松には歴史のある酒蔵もあります。そこの日本酒を革のお猪口で飲めたら嬉しいですね(笑)」。確かに、今までなかった革の器。完成が今から楽しみです。


『篤工房』の革製品には、二本松で受け継いだ伝統と歴史、人の想いが溢れています。「思えば、漆も金箔も仏壇や獅子頭の修復で必ず使うものですね。仏壇の彫刻を革に刻印した商品なども開発しました」と橋本さん。現在は革の縫製や裁断など一部の作業を市外で行っていますが、将来的には全ての工程を手仕事によるメイドイン二本松で製作するのが橋本さんの目標です。物語のある革製品が二本松から発信される新しい伝統になる日も近いことでしょう。

ITEM LINEUP

※名入れ可能
※オーダー承ってます
※商品の販売はリュクレ石澤(二本松市若宮2-154-15)でも行なっております
※価格は税込表記です

名刺入れ  18,000円

しおり1,650円~、ブックカバー15,400円、スケジュール帳カバー26,400円

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SHOP INFO

篤工房【とくこうぼう】

Googleマップ

二本松市竹田1-167

営/10:00~18:00
休/土曜、日曜
P/あり

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