ツアーコンダクター|プロフェッショナル夢名鑑

僕たちの仕事は「記憶に残らないような旅」にすることが1番なのかもしれませんね。

「今のお客さんは“安さ”ではなく上質なものを求める傾向にあります、そのようなニーズに応えられるように僕らはコース作りをしています。」と話してくれました。

ツアーコンダクターになろうとしたきっかけは何ですか?

穴澤 きっかけは親父が旅行業界で働いていたから。僕の学生の頃の修学旅行とか、親父が担当していたんですよ。そんな姿を見てきたから、中学生の頃から旅行業界に憧れていましたね。

普段はどのような仕事をしているんですか?

穴澤 お客さんの予算やニーズに応えた旅行のツアーを提案する仕事をメインにしています。一言でツアーコンダクター(添乗員)といっても、それを専門でやっている人もいれば、僕みたいに旅行代理店に勤めて、添乗員もやるし、営業などもやる、いわば旅行業務ならなんでもする。大きく分けてこの2つのパターンに分けられるんです。

仕事に対して心がけていることは何ですか?

穴澤 心配りを忘れないことですね。マニュアルはもちろんあるんだけど、各お客さんの性格に合わせた対応を心がけたり、応募した方々の誕生日をあらかじめ把握しておいて、ツアー中に誕生日を迎える方にはサプライズでケーキを用意したりと、参加した皆さんが楽しんでもらえるように色々と試行錯誤しています。旅行のプランを提案するときは、旅行中のイメージが膨らむように説明することを大切にしていますね。旅行会社はモノを売るのではなく、イメージを売るものですからね。楽しいイメージが出来なければ、誰もそこに行こうと思わないでしょ?

どのようなときにやりがいを感じますか?

穴澤 添乗員の仕事はうまくいって当たり前の世界。少しのミスでもお客さんに不快な思いをさせてしまうから。だけど皆さんが満足できるようにお世話をすると、また頼むよなと言ってくれる方もいるんです。やっぱりお客さんとのつながりが生まれたときはやりがいを感じますね。

同行した上海ツアーの参加者の方から送られた思い出が記録されたDVD。
実際に見せてもらうと、皆さん本当に楽しそう!

今まで同行したツアーの中で1番印象深かったことは何ですか?

穴澤 今でも覚えているのは若い頃に経験した、北海道のツアー。札幌から層雲峡、それから知床、根室に向かうコースだったんですけど、知床に入ったとき丁度台風が近づいていたんですね。来る前に出発しようとしたら、台風で橋が壊れてたんです。

え!?その後どうしたんですか?

穴澤 ひとまず復旧するまでお客さんには宿で待機してもらいました。だけど泊まっていた宿の土砂が崩れちゃって、水道が使えなくなったんですよね…なんとか復旧して、無事に出ることができたんだけど、やっぱりトラブルのあったツアーはいつまで経っても忘れられませんね。だけど逆にスムーズにいったツアーは印象に残り難いものなんですよ。なぜかというと皆さん、安心してツアーに臨まれているから。参加者の方は楽しかった思い出はしっかり覚えているのに、泊まったホテルの名前や電車の名前を聞いてみても、答えられる人は少ないんですよ。そう考えると、記憶に残らないような旅にするのが一番いいのかなぁなんて今では思います。

今後の目標を教えて下さい。

穴澤 今はネットが普及して、自分たちで調べて旅行を計画する人が増えていますよね。たしかに安いし、なにより便利。だけどネットに頼りきってしまうと、思い描いていた旅行と違う結果になってしまう場合もあるんですよ。だから添乗員を必要とする人をいかに開拓していくか。今後は来日する外国人の方々向けの企画にも注目して、多くの人を動かす事業にも力を入れていきたいです。

Q&A

Q.ツアーコンダクターってなに?
A.ツアーコンダクター(添乗員)は、移動手段や宿泊地の手配などといった事前準備の他にも、旅行中の安全確保や利用客が盛り上がるような演出を提案するなど、団体でのツアーが円滑かつ安全に進むように利用客をサポートする、いわばまとめ役的存在です。

Q.資格って必要なの?
A.添乗員として旅行に同行する場合は、総合旅行業務取扱管理者や国内・総合旅程管理者などの国家資格が必要になります。資格によって添乗できる範囲(海外、国内)が異なるのでチェックしておきましょう。

Q.求められる能力はなに?
A.ツアーに同行している最中に、いつどこでイレギュラーな出来事が起きるか分かりません。そのような場面に直面した際、適切な判断や臨機応変の対応ができるかが大きく求められます。

Q.どのような人が向いているの?
A.どこか違う場所や国に行くのが好きという方にとっては理想の職業かもしれません。知らない土地に関する知識や、海外でのツアーに同行する際には語学力も必要になるので、何事にも興味をもって行動しましょう。

穴沢さんオススメの観光地は、国の天然記念物にも選ばれた小笠原諸島の南島!
コバルトブルーの海と、手付かずの自然が織りなす景色はまさに絶景なんだとか!

お名前
株式会社郡中トラベル総合旅行業務取扱管理者 穴澤 聡一(あなざわ そういち)さん
出身地
福島県いわき市(出生地は青森県)
出身校
学習院大学
休日の過ごし方
旅行、お酒を嗜む

※この記事はaruku2017年1月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。

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