子育て

我が子は高校受験真っ只中。親がプレッシャーを与えたり、干渉し過ぎたりしないためにはどうしたらいいですか?

お悩み⑪「我が子は高校受験真っ只中。親がプレッシャーを与えたり、干渉し過ぎたりしないためにはどうしたらいいですか?」

(相談者:中学3年生のママ まるまるさん)
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 初めての受験とあれば、親御さんが心配される気持ちは心から理解できます。私も今から心配です。そもそも親はなぜイライラしてしまうのか。それは「不合格」⇒「我が子が傷つく」⇒「将来が心配」という思考回路になるからだと思います。

 では「高校合格」と「幸せな人生」について考えてみます。万が一、不合格だったとしても、その後の人生、豊かさはどうでしょうか。私は「高校合格」と「幸せな人生」は必ずしも直結しないと思うのです。私が学生の頃は学歴が重視された時代。いい高校、いい大学を出て、いい会社に入るというのが一般的な考え方でした。でも今は変わってきたように思います。社会に出て求められるのは、頑張れる力や“好き”を究める力、コミュニケーションといった能力なのです。学歴があれば夢が叶うというロジックではなくなりつつあります。今話題のZOZOTOWNの前澤友作さんも、最終学歴は高校卒業だそうです。

 高校受験の合否が豊かな人生とは同義でないとすると、大切になってくるのは「どのように受験勉強に臨んでいるか」という姿勢ではないでしょうか。例えば、親御さんが子どもの受験にたくさん干渉したとします。合格した場合、お子さんは自分で壁を超えたという達成感を味わえるでしょうか。不合格だった場合、自分自身の失敗だと受け止められるでしょうか。いずれにしても、親が干渉しすぎてしまうと、起こった事象が100%自分の行動の結果だとは考えづらいのではないかと思います。逆に言うと、主体的に受験に臨んでいれば、その後の人生においてとても大きな意味を持つと思います。そういう意味で、私たち親の役割はそれを示したり、応援したりすることだと感じています。

 子どもの人生について考えるとき、私はこれまで歩んできた自分の人生と重ねてみます。歯科医の父を持つ私は、長男ということもあり、当然自分も歯科医になるものだと思っていました。しかし、思いがけず人生の選択の余地が与えられ、悩み苦しんだ時期がありました。でもそういう経験をしたからこそ、物事を主体的に考えられるようになり、依存から自律へと考え方が大きく変わったように思います。結果的に歯科医にはなりませんでしたが、今は大好きな仕事に誇りを持って向き合っていますし、精神的に豊かな人生だと感じています。

 人生を決めるのは高校や大学の合格ではありません。受験を通じて、嬉しいこと、苦しいことを経験することこそが、子どもの人生を豊かにするのだと思います。私も子どもがおりますので、もちろん不合格で傷ついてほしくありません。しかし、精神的なたくましさなどは、困難な状況や追い込まれた状況を自分で解決したときに育成されるもの。ですから、焦る気持ちを抑え、冷静に応援し見守ってあげたいというのが、私の正直な思いです。今回お話ししたことが、皆さんにとって何かのヒントになれば幸いです。

※この記事はaruku2019年2月号に掲載したものです。

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