子どものための医療コラム

「大人の風しん予防について」
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今回は、直接小児科には関係ないのですが、大人の風しん抗体検査についてお話したいと思います。全国的に各市町村から対象の年代の男性へ風しん抗体検査の無料クーポン券が送られてきます。もし、封書が届きましたら、ぜひ捨てずに封書を開けてください。
昨年から、風しんに感染する方が増加傾向にあるとニュースでとりあげられていますが、今なぜ増えているのでしょうか。かつては、小児のうちに感染し、自然に免疫を獲得するのが通常でした。しかし、風しんワクチンの接種率の上昇で自然に感染する方は少なくなってきています。平成2年4月2日以降に生まれた方は2回、公費でワクチンを受ける機会がありましたが、昭和37年度から平成元年度に生まれた女性及び昭和54年度から平成元年度に生まれた男性は受けていても1回です。そして昭和54年4月1日以前に生まれた男性は1回もその機会がなく、十分な免疫を持たない方たちが蓄積していたものと考えられています。
 現在の日本は、国際交流する機会が多くなり、風しんに感染する機会が増えている状態です。そして、来年2020年は、東京でオリンピックが開催され、たくさんの外国の方が日本を訪れることが予想されます。
風しんは、風しんウイルスによって引き起こされる急性の発しん性感染症です。感染経路は飛沫感染で、人から人へと感染が伝播します。症状は発しん、発熱、首や耳の後ろのリンパ節の腫れ、ときに関節痛、血小板減少性紫斑病、脳炎などの合併症を併発することがあります。また、妊娠20週頃までの免疫のない妊婦が風しんウイルスに感染すると胎児に感染し、赤ちゃんが難聴・白内障・先天性心疾患を特徴とする「先天性風しん症候群」を持って生まれて来る可能性が高くなります。妊婦の方は風しんの予防接種を受けることができません。免疫を持たない女性は、妊娠前に予防接種を受けておくことが大切です。
生まれて来る子供の未来のために、大人の少しの努力で防げる病気があります。自分の子供には直接関係ないことかもしれませんが、一人一人が気を付けることで、守れる命があります。どうか他人事と思わず、もし周りに対象の年代の方がいたら検査を受けるようぜひお声掛けください。

お話をうかがった先生

さかい先生さかい小児科クリニック院長 酒井 英明先生
昭和大学医学部卒業。福島県立医科大学大学院修了。県内の総合病院勤務後、クリニックを開業。全国でも数少ない感染症指導医。

※この記事はaruku2019年5月号に掲載したものです。