郡山駅前

ひどい月経痛で悩んでいます…もしかして子宮内膜症??

女性のための医療コラム

「ひどい月経痛で悩んでいます…」
Q: 市販の鎮痛剤を飲んで我慢していますが、友人から“それって子宮内膜症かも?”と言われました。子宮内膜症ってどんな病気なのでしょうか。
A: もともと、子宮内にしかないはずの子宮内膜組織が、それ以外の場所に出来て増殖する病気です。子宮の筋層内にできたものを「子宮腺筋症」、卵巣のなかに出来たものは「チョコレートのう胞」といいます。骨盤内に炎症や癒着を引き起こすため、つらい月経痛をもたらし、それが閉経まで続きます。放っておくと不妊の原因にもつながります(不妊の50%が子宮内膜症と関連しているデータも)。以下のような症状があったら、子宮内膜症を疑った方が良いでしょう。
1) 月経時に強いけいれん性の痛みを感じるとき。
2) 性交痛があるとき。(子宮内膜症をもつ女性の60%が性交痛を訴えます)
3) 腸の動きにともなって、痛みを感じるとき。(腸に子宮内膜が癒着し、月経時以外にも痛みが起こります)

子宮内膜症患者は20年くらい前から増え続け、現在日本での患者数は 200 万人とも300万人とも言われています。子宮内膜症の原因には様々な説があり、古くは「月経血が卵管を逆流して、骨盤腔内に逆流することが原因(1920年サンプソン医師)」とする説や、ダイオキシンによる説などが挙げられていました。しかし確固たる原因はいまだに分かっておらず、ミステリアスな病気と言われています。
子宮内膜症が疑われる場合には、一人で悩まず婦人科を受診しましょう。婦人科ではまず問診を行い、内診、超音波検査などを行います。治療は未婚の方であれば、痛みの緩和が中心となります。高齢であれば、子宮内膜症の一種、卵巣のチョコレートのう胞のガン化を警戒し、予防する治療(摘出も含めて)を検討します。標準的な治療は、低用量ピルですが、私のクリニックでは漢方、食事療法、サプリメント(リプロキュアなど)を取り入れて治療を行います。閉経後も安心せず、ガン化の予防のため定期的に検診を続けて行くことも大事です。

お話をうかがった先生

170524_0富永國比呂先生
1975年、岩手医科大学医学部卒業、東京衛生病院産婦人科医長を経て、米国ロマリンダ大学大学院博士課程修了。日本産科婦人科学会専門医、日本性感染病学会会員、医学博士、米国公衆衛生学博士(Dr.P.H.)、国際個別化医療学会幹事、Personalized.Medicine Universe査読委員。

※この記事はaruku2018年3月号に掲載したものです。

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