元復興副大臣・参議院議員| プロフェッショナル夢名鑑

福島県出身の国会議員として復興に取り組む若松さん。その業務内容や、どんな思いで日々お仕事されているのかを伺いました。

国会議員が「辞めたい」は禁句。
選ばれたからには、人のためにやり続けるんです。

参議院会館内の若松さんのお部屋。
会議の際には広いテーブルに資料がいっぱい並びます。

子どもの頃の夢はなんですか?

若松 公認会計士になり親を助けたいと思っていました。けれど高校時代はやんちゃな時期もあり、高3最初の模擬試験では300点中48点だったんですよ。さすがにいけない、と思いそこから受験勉強を頑張り、家業も大変だったので夜間の大学に入りました。でも、まだこの時も漠然と会計士としか考えていませんでした。

そこから考えが変わったのはいつですか?

若松 大学一年の時に、「何のために会計士を目指すのか?」と聞かれ、何のためかと自問しました。そして「自行化他に自分の行動が他人を利する、他人が幸せになることが自分も幸せになることだ」という人生哲学を知り、公認会計士として自分は人の役に立ちたいと思いました。途中、家業の倒産や父親の病気で何度もやめようかと葛藤しましたが、やっぱりやるしかないと思い勉強して現役で合格できたんです。約8000時間は勉強しましたね。この経験は本当に私の原点です。次の目標が世界で通用する会計士になることだったので、卒業後監査法人に勤めてからは海外で日本企業のサポートをしていました。

若松さんが国会議員になったのはいつですか?

若松  37歳の時です。まだ公認会計士として働いていて、政治の道へ進むなんて思ってもいませんでした。きっかけは、ドイツへの赴任が決まった矢先に衆議院議員選挙への打診があったんです。もう青天の霹靂。大きな仕事をしたいとは思っていましたが、議員の影響力や仕事内容の大変さにどうするか悩みました。しかし、もともと人のために頑張れば自分に返ってくるという思いが強かったのと、与えられた使命を受けようと即決しました。その後半年浪人し、初挑戦の選挙で当選したんです。

そこから衆議院議員を三期経験されたのですね。

若松  はい。ちょうど三期目は国を監査する観点から行政改革を行いました。ちょうど『ストップザ天下り』を出版。特殊法人を見直し、三兆円の税金削減をしました。それを評価してもらい、小泉内閣時に総務副大臣を二年近く務めました。でも、議員10年目で落選し、そこからは、10年浪人しました。途中、諦めかけていましたけど、2013年に参議院議員として国政復帰したんです。

政界復帰後の2015年には復興副大臣にも任命されました。

若松  私も震災の翌年から郡山に住み、震災直後から何度も被災地を訪れていましたから、それもあったでしょうね。実は、2011年に陸前高田で「いろんな議員に要望を伝えてもそこで終わる」と言われたことがありました。バッチはないけど何とかしないと、と思い自分の党で地区ごとに担当を決め、受けた要望等は必ず応える仕組みを提案し、実現しました。そのシステムは大きかったですし、そうやって復興に直接携わっていた経験が復興副大臣になってからも活きました。副大臣時代は被災地にいる時間の方が長かったんじゃないかな。

復興副大臣のお仕事は今までと違ったのですか?

若松  大臣は行政の執行側で、国会はチェック。予算を最大限にどう活用して復興加速化するかなので全然違いますね。副大臣時代はとにかく被災者に寄り添うことに徹しました。例えば、双葉地区の復興住宅建設を一日でも早く完成できるよう尽力したり、県外避難の方に会いに山形や京都、宮古島に行ったり。そして、復興が進むにつれてニーズも変化してきたんですよね。そこでその都度、予算制度を作るのが大変なので、新たな制度を作って現場のニーズに応えやすくしました。予算を持って執行するからには効率よく効果的に。それが副大臣の仕事でした。

とても大変なお仕事なのですね。

若松 そうですね。常に全体観を持ちながら個々の自治体を見る目も必要だし、現場感覚も研ぎ澄まさなきゃいけないですから。「常に課題と向き合いながら」、なんです。特に復興副大臣は、喜べることばかりじゃなかったですよ。もちろん、やったことにお礼を言われたら嬉しいですけど、すぐに新たな課題がありますから。それが国会議員の宿命です。でもね、国会議員っていうのは「やめる、やめたい」って言っちゃいけないんです。一回なったらね。それは、身体を壊したり迷惑かけてもやれということじゃないですよ。やる気になって政治家になったのなら、基本的に死ぬまでやると。人のためにね。私はそれがやりがいなのかな。

政界に興味がある子どもたちへメッセージをお願いします。

若松  まず、問題意識と関心を持つことですね。政治とは、物事を決められる・法律を作る・予算を確保できる権限も大きいので、それを良い方に使わなければいけません。そのための問題意識であり、関心。社会の仕組みも勉強して、個人・家庭・地域の課題にも関心を持ってほしいです。大きな話から小さな話まで、世の中課題だらけなんですよ。だから、その課題に政治が何をできるのかを考えてみてください。そして国会議員を資格として考えてはだめです。なることが目的じゃなくて、なってから。あくまでも我々は仕事をするために選ばれていますから。何のためになるのかをじっくり考えてくださいね。

マラソン
愛用シューズ

年2回5kmマラソン大会に出場する若松さん。出張には必ずウエアとシューズを持参して、ジョギングをしているそう。

復興副大臣時代は東日本大震災の被災地のほか、九州北部の集中豪雨や平成28年台風第10号の被害にも対応しました

お名前
若松 謙維(わかまつ かねしげ)さん
出身地
福島県石川郡石川町/福島県郡山市在住
出身校
中央大学商学部(二部)
資格
公認会計士、税理士、行政書士
座右の銘
一生懸命/自分の能力は限られているからこそ、ひたすら目の前の課題に一生懸命取り組みたい。
趣味
カラオケ(第九・J-POP・演歌までジャンルは豊富)、マラソン、ラーメン店巡り(郡山だとトクちゃんラーメンがお気に入り)

※この記事はaruku2019年3月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。

連載