内装プランナー| プロフェッショナル夢名鑑 

様々な建物の室内空間を、企画・設計・工事監理とトータルで請け負う専門家。どうやってなるの?どんなことをするの?という疑問を伺いました。

家具、照明、壁紙、
床。細かいところまで室内空間を幅広くコーディネートする仕事です

図面を書くだけでも年間50件程こなす深谷さん。打合せや協力会社とやりとりしながら常に複数物件を動かしています。

内装プランナーとは、どんなことをするのですか?

深谷 主に商業施設の室内空間をデザイン、設計、施工まで行う仕事です。お客様の「こんなお店にしたい」という希望に沿って、室内をコーディネートしていきます。ただ、内装業は何でも屋みたいなところもあり、幅広く対応します。住宅メーカーと被る部分もありますが、もっと細かいところまでやる感じですね。看板だけ、壁の色変えるだけ、という依頼や、飲食店でイスとテーブル選んでとか、メニューだけ作ってという依頼の時もあります。本当に、室内空間でパッと目に入るものは全部やります。

深谷さんはもともと内装プランナーを目指していたのですか?

深谷 いえ。最初は「自分で図面を書いて、自分で家を建てる」ことを目指していました。それで、建築士の資格が取れる専門学校に進学して、住宅メーカーに就職したんです。そこでの仕事を通して、住宅に縛られずもっと幅広く仕事をしてみたいなと思うようになりました。それで、店づくりって幅広そうだなと思ったのがきっかけです。お店作りはある意味で自由なんですよね、決まりがないので。自由な発想で自由にできます。もちろん、お客さんの要望を叶える前提で、ですけど。

実際にどのような業種をプランニングしているんですか?

深谷 スーパーマーケット、エステ、洋服店、美容室、飲食店、薬局…。ジャンルも規模もバラバラで、いろんな方と仕事しています。依頼内容にもよりますが、小さいものだと一人完結型もありますし、大きくなればなるほど、営業、デザイン、設計、施工と担当を分けて、チームで動くこともあります。私は設計を担当し、実際にお店のデザインを図面に落とし込んで形にしていきます。この仕事をしていると、時には「お店をやってみたいんですけど、どうしたら良いんですか」という相談もあるんです。

最初はどのような仕事から始まったのですか?

深谷 「お店づくりってなんだろう」から始まります。上司にくっついて打ち合わせに行ってみたり、現場に行ってみたり、図面書いてみたり。とにかく真似事から始まりました。その中で打合せの大切さを実感しました。お客様の要望をよく聞いて、うまく解釈できるか。聞く能力も必要、それを具現化する能力も必要なんです。だから、何度も密に打合せをします。それで最後に「おっ、これだよ!」って言ってもらえるのが一番嬉しいですね。

打合せが大切なのですね。

深谷 お客さんとの打ち合わせが一番の仕事。言葉だけだはなくて、絵を見せる、写真を見せるとか、目でわかるものを提案して、イメージを膨らませながら進めることもあります。打ち合わせから変更無しで進むことはないんです。でも、それは悪いことではありません。だって、より良くしようと思うから変更するんですから。それをどう上手にまとめていくか。打合せしてきて要望を形にして、それをお客さんに喜んでもらった時は最高ですね。オープンした後も、実際に足を運んだりして、様子を見たりするんです。

仕事のために普段から行っていることはありますか?

深谷 商業店舗は普段から見に行ったり、調べたりしますね。あとは、展示会に参加します。私が行く展示会は、何かに特化したものが多いですね。インテリアフェア、スーパーマーケットフェア、照明器具など。そういう一つ一つが仕事に関わってくるから、いろんなものの展示会に行きますね。毎回、今回はこういう観点・目的で見よう、と決めて行くので勉強になりますよ。

内装プランナーに必要な資格はありますか?

深谷 必要な資格はありませんが、あった方が良い資格はあります。例えば、私は設計という立場で建築士の資格を持っています。デザインならインテリアコーディネーターの資格、施工管理の方だと施工管理技士など。資格があれば、それを活かすことができます。

内装の仕事に興味がある子どもへメッセージをお願いします。

深谷 普段の生活で、いつも同じ場所だけじゃなくて、たまに違う方向から見ることも意識してほしいですね。あ、こんなものもあったんだって気づきが生まれるんですよ。なるべく幅広い視野を持てるようになると、全体的に見れるようになるので。あとはしゃべり。どんなに良いものが出来上がっても、説明が下手では伝わりませんからね。空間把握能力は、もともと長けている人もいますけど、養われるものだと私は思っています。現場に行くことで体が覚えるんです。例えば、3mって高い?低い?と聞かれても、高い時も低い時もあるのが正解なんですよ。だから、それが高いか低いかは物件にあてはめて考えてはじめて答えが出ます。だから、いろんな物件で経験するしかないんです。机上だけで出来る仕事ではないと私は思っています。

今後、挑戦したいことはありますか?

深谷 まさに今、これまでと少し違う仕事を担当しているんですが、すごく面白いんです。今既にあるお店とはデザインやコンセプトを全く変えて新規でお店を出す、というものです。新しいことをやるから大変ですよ。だけど、面白さはありますよね。こういう新しい事業にもどんどん挑戦してみたいと思っています。

社内にはサンプルや資料もたくさん。店内のグリーンだけなど、商業施設ならではのカタログも。

JCD Soda活動出前授業
深谷さんの会社では、体験型授業を開催。実際に小学校に出向き、子供たちにデザインの意識を高めてもらうための活動も行っています。
お名前
株式会社 ピオ・プランナーズ 第2事業部 設計監理室 室長 深谷 厚志(ふかや あつし)さん
出身地
福島県白河市
出身校
日建工科専門学校研究科(現/宇都宮日建工科専門学校)
休日の過ごし方
子どもと遊ぶ

※この記事はaruku2019年8月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。

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