ドッグトレーナー| プロフェッショナル夢名鑑 

長い時間と愛情をたっぷりかけて犬と心を通い合わせる。世界でも活躍するドッグトレーナーにお話を伺いました。

心を通い合わせるのは大変ですが、そのぶん、深いところで通じあえた時は嬉しいです。

きちんと愛情と時間をかけてあげることで犬のみせる表情も変わってきます。と話す樽川さん。

ドッグトレーナーを目指したきっかけを教えて下さい。

樽川 小さい時から犬をたくさん飼ってはいたのですが、初めは馬の調教師を目指して動物の専門学校に入学しました。しかし、長身の僕は馬の調教師に向いていないことが分かって、そんな時に同じ校舎のドッグトレーナー科の授業を目にして、かっこいいなと思ったんです。調教と合致する部分を感じたのだと思います。訓練競技の世界大会があることも知っていたので、やるからには世界一のトレーナーを目指そうと思い、大会の様子を収めたビデオは擦り切れるくらい毎日見ていました。

ドッグトレーナーになるのにどんなことを学んだのですか?

樽川 専門学校で動物行動学や実習を通して学んだ後、静岡県にある国際訓練に特化した訓練所で修業しました。世界一を目指すなら世界に通用する技術や犬との接し方を学ぶ必要があったからです。競技で大事なのは犬との一体感。深いところで心を通い合わせるには、指示に対する単なる反応ではなく、犬の感情を呼び起こしてあげることが重要です。それには膨大な時間と愛情をかける必要があるので大変ですが、心が通じ合った時は嬉しいですね。

現在は福島市でドッグスクールを開業されていますよね。

樽川 15年程前に訓練所から独立し、地元に戻りドッグスクールを構えました。家庭犬のしつけはもちろん、警備犬の育成訓練やNPO法人日本ペット里親協会と提携した各地でのイベントの開催、訓練競技会の世界選手権に日本代表として出場したこともあります。

訓練競技の世界選手権ではどのようなことをするのですか?

樽川 様々なカテゴリがありますが、IGP(国際作業犬試験)では足跡追及・服従・防衛の3つの項目を世界基準で評価します。警備犬や警察犬などの実働が伴う犬には欠かせない要素です。脚側行進などは犬と息が合っているとアートのように美しいんですよ。やはり犬との生活が文化として根付いているヨーロッパ勢が強いのですが、いずれは世界一を取りたいです。

各地でのイベント開催とはどんなことをされているのですか?

樽川 こちらは訓練とは違い、家庭犬向けのしつけ教室をホームセンターなどで行っています。各地で年間約1,000頭の犬を見ているのですが、7~8年前くらいからは飼い主さんの意識変化も感じるようになりました。家族の一員として愛情と時間とお金をかけ良い犬を育てる、富裕層のものと思われていたしつけや教育もいまや社会全体に浸透してきたように思います。

樽川さんが考える犬の教育とはどのようなものですか?

樽川 問題行動が起きてからそれを矯正するのではなく、子犬の時から問題行動の目を摘みながら行うものが本来の教育です。人間の情操教育と同じで、犬も感情や愛情を注いであげた分だけ表情豊かに、私たちに返してくれます。犬にとっても教育をすることで住みやすい環境を作ってあげることができます。まだまだ知られていないことかもしれませんが、教育は絶対に必要なことだと思います。

今後どのようなことに挑戦していきたいですか?

樽川 学生の頃から目指していた世界選手権で一位になることと、犬と人間が共生していく中で犬の教育やしつけに対する意識や認知の向上に繋がる活動をしていきたいです。現在SNSでしつけに関する動画を発信しています。まだまだ日本では敷居が高く感じられるドッグスクールですが、そういったところから少しずつ知ってもらえればいいなと思います。

将来を考える子どもたちへメッセージをお願いします。

樽川 何事も続けることが大事だと思います。ドッグトレーナーを目指すなら、結果を出すためには長期的に反復練習が必要になるなど根気がいることも理解しておいてほしいですね。また、得た知識を基に、職業体験に行くなど行動に移して、体感してみると良いと思います。失敗したとしても自身の経験として糧になるはずです。

樽川さんのパートナー、ベルギーシェパードのスマル君。

訓練で使う道具の一部。2㎏あるダンベルを投げて取ってくる訓練もあるそう。

世界選手権での防衛訓練の様子。

お名前
BOND DOG SCHOOL 代表 ドッグトレーナー 樽川 雄太さん(たるかわ ゆうた)さん
出身地
福島県福島市
出身校 
東京コミュニケーションアート専門学校 ドッグトレーナー科
休日の過ごし方
筋トレ
座右の銘 
自我作古
保持資格
・FCI世界全犬種畜犬連盟IGP国際作業犬審査員
・JKCジャパンケネルクラブ公認訓練所・訓練士

※この記事はaruku2020年7月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。

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