国会議員|プロフェッショナル夢名鑑 

国の様々な問題に対して政策を掲げる国会議員。自民党の初代復興大臣、厚生労働大臣などを歴任された根本 匠さんにお話を伺いました。

国会議員に必要なのは使命感と責任、そして情熱です。

インタビューでは「日本をリードし、世界が羨む新しい福島県を築きたい」と力強く話してくださいました。


根本さんが国会議員になったきっかけを教えてください。

根本 私が議員になる前は、国に貢献したい、国づくり・街づくりをやりたいという思いから建設省の官僚として働いていました。その間は様々な政策に取り組んできましたが、突然、衆議院議員として出馬しないかと打診があったんです。最初は「私には向いてません」と断ったのですが「それは周りが決めることだ」と説得され、次第に政治家として国をダイナミックに動かしたいと思うようになり、清水の舞台から飛び降りる気持ちで衆議院議員を目指しました。

初当選した時はどんな気持ちでしたか?

根本 建設省を辞めてから地元郡山に戻り、約2年間1日も休まず、有権者の皆さんの意見を聞き周りました。時には厳しい言葉や意見もありましたが、そんな皆さんが選挙で自分を選んでくれた。ですから、みんなのためにこの国を動かす政治家になるぞ!という気持ちでした。

国会議員としてどんなお仕事をされてきたのですか?

根本 国会議員の仕事は国を、そして故郷を良くすること。国を動かす政策を作り、ビジョンを示し、実行することが主な仕事です。子育て支援、年金、医療、介護、農業、経済の活性化等、あらゆる分野で国民の声に耳を傾け、志を同じくする政治家や官僚たちと政策を作り上げてきました。郡山市では1期目から街づくりの即戦力として、20年、30年後を展望した都市インフラのベースづくりにも取り組みました。郡山駅西口の再開発や4号バイパスの4車線立体交差化、八山田など市内4カ所の区画整理などがそれです。自分が関わった政策が国を動かした、世の中の役に立った、これは自分にとって大きな喜びでしたね。

様々な政策を立てるために、日々どんなことをされていますか?

根本 政治家が取り組むテーマは多岐に渡ります。私はよく国会図書館から資料や論文を取り寄せ、解決策を見出しています。何事も本質がわかれば解決策が見えてくるのですが、それには勉強が必要。大臣ともなればあらゆるテーマに精通していなければならず、特に厚生労働省は子育てや仕事など生活に密着するテーマが多いため、厚生労働大臣時代は人生の中で一番勉強したと思いますね。政策をつくる国会議員は、いうなれば日本社会のお医者さん。ケガや病気(問題・課題)の原因と解決方法を探り、適切な治療(政策)をして回復・改善させる。常に頭を使う仕事です。子どもの時はマンガ本を読んだり遊んでばかりでしたが、何か一つのことに集中するのが得意だったのと、建設省で政策に取り組んできた経験は今の政治家人生に大きく役立っています。

東日本大震災後は、復興大臣として約2年尽力されていましたね。

根本 3.11の時は浪人中でしたが、郡山市防災対策アドバイザーとして解決できた課題もありました。ですが、トップならもっとできることがあると、非常に悔しい思いをしましたね。再選後、安倍総理大臣から復興大臣に任命された私は、各省庁一丸となって復興に取り組めるよう、司令塔となり復興予算の増額をはじめ、復興住宅づくり、開成山のプールをはじめ子供たちのための屋内外運動施設をつくるなど、関係省庁の官僚を動かし、政治主導で復興を加速させました。大臣退任後も更なる復興を目指して、今も政策に取り組んでいます。

根本さんが思う政治家として大事なことは何でしょうか?

根本 使命感と責任感、そして情熱を常に持たなければならないと思います。国民に選ばれたという自覚を持ち、大臣などリーダーを任されれば自らが先頭に立って決断し、実行し、そして強い責任をもつ。先陣を切って、国を、人を動かすという情熱が大事です。同時に有権者の皆さんの支えに感謝する気持ちと、謙虚さも忘れてはいけません。

これからどんな福島県を目指していきたいですか?

根本 日本と世界のモデルとなるような、創造と可能性のある福島です。私が復興大臣時に道筋をつけた「福島イノベーション・コースト構想※」を基に、日本の先端技術を先導する地域へと生まれ変わらせたいと考えています。そして「国際教育研究拠点」をつくり、技術立国復活の狼煙(のろし)を福島から上げたいですね。同時に農林水産・畜産など一次産業も磨き上げ、農・商・工を問わず様々な人が挑戦し、活躍できる土壌を作り上げたいです。

※東日本大震災及び原子力災害によって失われた浜通り地域等の産業を回復するために、新たな産業基盤の構築を目指す国家プロジェクト。

これからの日本を担う子供たちに、どんな力を身につけてほしいと思いますか?

根本 色んなことに対し、自分で考え、解決する能力を身につけてほしいです。今年で震災から10年経ちました。子供たちが歩んできた道は、福島の復興と重なります。「国のため、福島のため何ができるのか」をぜひ考えてほしいですね。真の復興のためには優秀な人財が日本には必要。世界に誇れる福島を創るため、小さな事から挑戦すること、そして考える力を日々磨き上げていってください。

震災後は運動施設の整備や公園遊具の更新など、未来の子供たちの健康づくりのための対策も進めてきたそうです。


お名前
元復興大臣・元厚生労働大臣・衆議院議員 根本 匠(ねもと たくみ)さん
出身地
福島県郡山市
学歴
東京大学経済学部
座右の銘
「自ら計らわず」、「疾風に勁草を知る」
休日の過ごし方
水泳、読書をしたいけれど休みが無いのが辛い所…。

※この記事はaruku2021年9月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。

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