美容外科医|プロフェッショナル夢名鑑

人のキレイになりたいという思いに応える美容外科医にお話を聞きました。

“人の為になることをする”祖父の背中を見てめざした医師。関わる人が笑顔になることが生きがい

大宮の美容クリニックで院長を勤める鈴木さん。2023年には郡山院も開院し、週1回は郡山にも通勤。「地域に根差した、お客様に安心・満足していただけるクリニックをめざしたい」と語ります。

普段のお仕事を教えてください。
竹田 私は大宮にある美容外科「アリエル美容クリニック」の院長をしています。主な仕事内容は、お客様の診察や手術、スタッフの指導、病院の経営。扱っている美容のメニューは多様で、ピーリングやレーザー治療など美肌や若々しさを保つもの、また二重整形など美しさをお手伝いするもの、その他脱毛などです。通勤は電車で1時間かかるのですが、朝の1時間はメール対応、帰りの1時間は読書をして知識をインプットする時間に充てていますね。

医師を志した理由を教えてください。
鈴木 私が医師をめざしたのは祖父の影響が大きいです。祖父は元は林業、その後は製薬会社を経営していました。とにかく人を大切にする人で、従業員やお客様から慕われていたそうです。しかし、会社の経営が悪くなった時、多くの人が祖父から離れました。それでも祖父は愚痴一つ言わず、人を信頼して、従業員を、会社を守り続けました。そうすると、結果的にサービスも成長して、人が以前より集まってきたと言います。そんな祖父が常に口にしていたのが、“人の為になることをしなさい”。そして、孫である私に同じ医業である医師になってほしいと願っていました。尊敬する祖父でしたから、自然と私も医師になることが夢になっていましたね。
 祖父は私が研修医時代に亡くなったのですが、具合が悪くなり始めた時、私が祖父に聴診器を当てると「安心する」と言ってくれました。看取りの時も私が聴診器を当てていたので、安心して旅立てていたら嬉しいですね。今でもこの時の記憶が私のすぐそばにあって、今の美容外科医としての在り方につながっています。お客様に“安心”を与えられる存在でありたいと思っています。

医学部を卒業後は小児科医として勤務していたとお聞きしました。医学部での勉強・研修医時代を通して小児科医をめざした理由は何ですか。
鈴木 医者になったからには、全身を診る医者になりたいと思っていました。医学部に入ると、頭から足の先まで全部勉強します。内科でも呼吸器内科、循環器内科等、他にも外科、産婦人科、眼科、麻酔科、一通り学びます。全て勉強したことを活かしたいと思い、専門は小児科か救急診療科、総合診療科で迷いました。その中で、やはり未来ある子どもたちの命を救うということは何物にも代え難いと感じ、小児科を選択。実際小児科医になり、治療をすると子どもだけでなく親御さんの笑顔も見ることができると分かり、2倍やりがいを感じましたね。

小児科医を経て、美容外科医をめざした理由は何ですか。
鈴木 理由は2つあります。子どもは自分の症状を完璧に伝えられないので、私は親御さんからのヒアリングも大切にして治療法を決めていました。すると多くの患者さんが来るようになり、同じ病院の小児科でも私の診察だけ患者が多く、2時間待ちになることなどがありました。しかし病院からは、素早く患者様を診察することを求められました。私は一人の患者様をしっかり診て安心して納得してもらいたいという思いが強かったので、私のやり方があう場所を求めるようになりました。
 もう一つは学生時代のコンプレックスです。私は高校生の時ニキビがひどく、近くの皮膚科に行くと“思春期によくある肌荒れ”と診断され、すっきりとニキビが治ることなく高校生活を送りました。しかし大学生の時に自由診療のクリニックで治療をしてもらったところみるみる肌がきれいに!とても感動し、心も前向きに晴れやかになっていく感覚を味わいました。その時、「いつか人の“見た目”の悩みも治療できる医師なりたい」と思い、その気持ちがずっと心の奥にありました。

美容外科医となったことで、やりがいはどのように変化しましたか。
鈴木 小児科医を3年経験したのち、大手美容外科で勤務し、2年前に「アリエル美容クリニック 大宮院」を開院しました。今のやりがいは、やはりお客様が喜んでくれることです。大袈裟と感じるかもしれませんが、1日に1人のお客様は泣きながら感謝の気持ちを伝えてくれます。その姿を見て私も感動を共有し、そして一緒に働く仲間と感動を分かち合います。この時に一番やりがいを感じますね。私はお客様はもちろん、働く仲間も幸せでなければいけないと思っています。心から湧き出る笑顔や思いやりでなければ、お客様と一緒に喜ぶという体験はできないでしょう。ですから私は働く環境を整えたり、共に目的を持ったり、主体性を育てることを大切にしています。このような取り組みを続けることで、お客様もスタッフも共に幸せを感じられる空間を作っていきたいと思っています。

今後美容医療はどのように変化すると思いますか。またその中で鈴木さんがめざしていることは何ですか。
鈴木 美容医療は10年前と比較してもかなり身近でオープンなものになってきました。同時に美容クリニックも増えています。今まではオープンになっていなかった分、治療内容は適切なのか、施術に金額が見合っているのか、ニュースなどを通して美容医療に不信感を持つ場面があったかもしれません。しかしこれからは美容クリニックが増えているからこそ、不透明な部分があったり、信用に欠けるクリニックは自然と淘汰されていくと思います。私は入り口から出口までお客様の満足を追求していくと掲げてやっているので、業界全体が今以上にクリアで信頼されるものになっていけば良いなと感じています。

子どもたちにメッセージをお願いします。
鈴木 どのような職業でも仕事のやりがいは、関わった人が喜んでくれることにあると思います。美容医療に限らず、「楽しそうだから」「お金が稼げそうだから」ではなく、“人の為になると自信を持ってやる”ことが大事。この視点を持つことが、今後仕事をしていく上で少しでも役立てば嬉しいです。祖父は今の私に向かって何と声をかけてくれているかは分かりませんが、祖父が教えてくれたことはしっかりと受け継いでいます。

手術中の様子。100%万全な状態で手術をするために、毎日21時には寝て5時に起き、ジョギングをしてから出勤しているそう。

お名前
鈴木(すずき)さん
好きな言葉
「悩んだら人の為になることをする」
休日の過ごし方
朝5時に起き、ジョギング、半身浴をして、残った時間は睡眠や読書に使う

※この記事はaruku2023年10月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。

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