希望の光となった自作の畳コースター
須賀川市内で代々続く畳屋を営む家庭に生まれた私は、大学進学を機に上京、卒業後は都内で会社員として働いていました。上京して13年間、家業とは無縁の生活を送っていましたが、2019年の春に帰省した際に父から「これを読んでほしい」とメモを渡されました。
近年、生活様式の西洋化に伴う需要の減少や後継者不足により、畳事業者は悩まされています。熊本県い業生産販売振興協会が全国の畳事業者に行った調査によると、畳の需要は20年間で8割も減少。畳屋の5割以上が、自分の代で廃業すると決めていたり、後継者の不在で困っていると回答しています。
私の実家も例外ではなく、厳しい状況に立たされていました。当然すぐに答えが浮かぶわけもなく、モヤモヤした気持ちを抱えたまま東京へ戻りました。
自分に何かできないかと考え、お盆に再び帰省した際に工場に行き、畳の端材を使って商品開発を始めました。第一号は不格好で正直販売できるレベルではありませんでした。
東京に戻ってからも商品開発を続け、その様子を個人のSNSで投稿していました。すると友人からのアドバイスがあり、それを元に改良を続けていきました。そんなある日、友人から連絡が来ました。「鮨はしもとさんが久保木君の畳を欲しがっているよ」。郡山出身の店主が営む東京の一流寿司店です。
商品が売れたことより、質の高い商品を作れば、畳の良さを評価してくれる人がいると分かったことが嬉しかったです。「古臭いと思われていた畳も頑張ればその価値を認めてもらえる」。この一件で家業に希望の光が見えました。そして翌日、7年勤めた会社に辞意を伝えました。
「実家の畳屋を継ぐために会社を辞めます」
(つづく)
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SHOP INFO
有限会社久保木畳店 TATAMI VILLAGE(畳ビレッジ)
福島県須賀川市仲の町55
【畳のご相談・お見積りは無料】
営/11:00~17:00(畳の相談は8:00~)
休/水曜(電話でのご相談は可能)
P/20台
※この記事は2024年8月に制作したものです。内容は取材当時のものです。