客室乗務員|プロフェッショナル夢名鑑

お客様ひとりひとりを思って
行動できるCAになりたいです

スカーフの巻き方は基本自由で白石さんはこの巻き方が定番。最初は上手くできずに見様見真似で巻いていたそう。

客室乗務員(CA)になろうと思ったきっかけを教えてください。

白石  小学校2年生のときに「スチュワーデス物語」というドラマの再放送を見てCAに憧れました。その憧れが強くなったのは、中学生のときにアメリカにホームステイしてから。初の海外生活に加え、日本とは違う文化に触れて衝撃を受けました。そこから海外についてもっと知りたい、海外で活躍できるCAになりたいと強く思うようになったんです。大学でも海外の知識を身につけたくて欧米研究を専攻しました。大学では先生が海外の友人を招いて一緒にパーティもしました。それに、留学生と一緒の寮だったのでいろいろな国の友達ができました。寮ではスパルタで日本語を教えたり、外国語を教わったりしたんです。大学時代一番の思い出が留学生たちと過ごしたことです。そんな環境から海外と関わる仕事をしたいという思いもどんどん強くなりました。

海外と関わる仕事というのは、CA以外にも考えていたのですか?

白石  いえ、CAだけでした。学生時代、旅行先の空港で飛行機が駐機場に入ってくるのを目の前で見たことがあるんです。大興奮してちびっ子と一緒になって手を振っていたら、パイロットの方も手を振り返してくれました。嬉しくて、飛行機の中でCAさんにもその話をしたんです。すると、到着後にそのパイロットの方が話しかけてくれたんです。その時に、CAさんがわざわざその話を伝えてくれていたのがわかってとても感動しました。私も、お客様一人一人のために何かしようと行動できるCAになりたいなと思うようになりましたね。

ずっと夢だったCAになれたときは、どのような気持ちでしたか?

白石  本当にあきらめないでよかったと思いました。実は私、新卒採用ではANAと縁がなく、卒業後1年間ホテルに勤めていたんです。私の勤めていたホテルは、国内外問わずファミリーからビジネスマンまで訪れるところでした。いろいろな方と接する中で、やっぱりCAになる夢をあきらめきれなかったんです。そこでもう一度チャレンジしての合格だったのでとても嬉しかったですね。

普段はどのようなお仕事をしていますか?

白石  出社したら、オフィスで自分のフライト情報、保安やサービスに関することなど必要な情報をチェックします。その後、出発時刻の1時間前からCA全員が集まって行う打ち合わせ、ブリーフィングを行います。内容は顔合わせ・その日のフライトの目標・気をつけるべきことなど。そして飛行機に向かい出発に向けての準備をします。準備が終わると、もうお客様の搭乗開始時刻なのでお出迎えです。その後は離陸と着陸以外はずっと動いてますね。国内線は1日に3便飛ぶこともあり、休みも不規則でハードな仕事ですが、私は座る時間があるだけ良いと思います。ホテルで働いたときにはずっと立ち仕事でしたから。
※取材したこの日は、羽田~伊丹、伊丹~仙台、仙台~伊丹のフライトが。タフなスケジュールをこなせるのも、ホテル勤務時代の苦労があったからこそ。

実際にCAとして働く中で辛かったことや困ったことはありますか?

白石  雪や台風など、天候悪化によって引き返したりすることですね。ずっと旋回することもあるので、お客様の表情にも疲れがみえるとやるせない気持ちになります。それから、最初はフライト中にお子様が泣いてしまうとどうしていいのかわからないこともありました。そこで、先輩の経験や対処法を教えてもらったんです。子どもを持つ先輩CAもたくさんいるので、いろいろアドバイスをもらえるんですよ。今では、その子が泣き止むようにお菓子やおもちゃをあげたり機内をお散歩したりして気を紛らわせています。

今までのフライトで、印象に残っていることはありますか?

白石  以前、福島のおじいちゃんおばあちゃんの団体を乗せたことがあります。接客する中で福島の人たちだとわかり、ちょうど震災から1年経った頃だったので暗くなってもいられないと気分転換も兼ねての旅行かなと思いました。そこで、少しでも元気になってもらえたらと思ってお手紙を書き、キャンディと一緒にお渡ししました。そしたら、その後わざわざお客様が感謝の手紙を送って下さったんです。自分がしたことをお客様が良い思い出にして下さって、その人にとって何かできたのかなと思えて嬉しかったです。

フライト時に持ち歩く仕事道具。マニュアルなどはiPadで確認するそう。中には、お客様からの手紙もありました。

CAになるために必要なことや、CAを目指す子どもたちへメッセージをお願いします。

白石  CAになるために絶対に必要なものはないと思うんです。ただ、健康な体と心を養うことは重要ですね。そのためにいろんな人と関わり、いろんなことに挑戦して感性を磨いてください。それから、お客様にお声がけすることはもちろん、CA同士で積極的に声を掛け合うことも大切になります。実は、私たちも毎回違う人とフライトをすることがほとんど。そこでコミュニケーション不足だと、間違ったことが起きてもそのままになってしまいますし、クルーの雰囲気が悪いとお客様にも伝わってしまいます。だから、問題なく良い雰囲気でフライトするためにもコミュニケーションは必須ですね。あとは、どんなことにも言えますが、最初は憧れでもずっと努力していれば叶うと思うので、あきらめてほしくはないですね。私も遠回りしましたがCAになれましたから。今後は、結婚してママになってもずっとCAとして飛び続けたいと思っています。

お名前
ANA客室乗務員 白石 薫(しらいし かおる)さん
出身地
福島県田村市常葉町
出身校
福島県立郡山高等学校・東京学芸大学
休みの日の過ごし方
友人や同期とカフェに出かけたり、料理・英会話教室に通ったりなどアクティブに過ごす事が多い白石さん。休日も充実させることでリフレッシュしているそう。

※この記事はaruku2015年5月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。

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