日本語教師|プロフェッショナル夢名鑑 

外国人に日本語を教え、コミュニケーション力を養う日本語教師にお話を伺いました。

日本語ができなかった生徒の語学力向上を実感した時にやりがいを感じます

日本語の授業を行う金田さん。レッスン中は生徒も笑顔が絶えません。


日本語教師とはどのようなお仕事なのでしょうか?

金田 母国語が日本語ではない外国人に、日本語を教えています。対面で教えているのは郡山市の専門学校に通う留学生、就職や結婚などで日本に来た外国人です。オンラインでもアフリカやアジア圏を中心に日本語指導をしたり、日本への留学や就職を希望する方のサポートをしたりしています。

日本語教師を目指したきっかけを教えてください。

金田 中学校で英語の教員をした後、結婚を機に会津大学の職員として留学生のサポートをする仕事に移りました。そこで留学生に日本語を教える機会があり、学ぶことに対する思いの強さに圧倒されたんです。卒業後も日本の企業で活躍することを目指す学生を支えるのは大きなやりがいでした。日本語を教えることを本職にしたいと思い始めた時、郡山市の専門学校で日本語教師の求人募集があることを知り、3ヶ月の猛勉強の末に「日本語教育能力検定試験」に合格、晴れて日本語教師として採用されました。

日本語教育能力検定試験とはどんな内容の試験なのでしょうか。

金田 日本語の文法は、国語の教科書にあるような日本語が母国語である人にとってわかりやすい教え方と、そうでない人にとってわかりやすい教え方があり、試験では外国人に日本語を教えるために必要な知識を問う問題が出されます。日本語教育の歴史や時事問題、特定の年齢層や国の人に対してどのように日本語を教えるかを説明する小論文、学習者の発音を聞き、どのように唇や舌を使っていたかを示す「口腔断面図」を選ぶリスニング問題もありました。

子どもの頃から外国に興味があったのですか?

金田 宇宙や地球のことを考えるのが好きでした。私たちにとって地球は広いですが、宇宙の中では小さな星。宇宙旅行は難しいかもしれないけれど、せっかく地球に生まれたのなら英語ができれば世界中どこにでも行くことができると思っていて、勉強は嫌いでしたが英語の勉強だけは頑張って続けられました。中学生で初めてイギリスに短期留学をした時、私より成績の良い同級生はたくさんいましたが、私が一番現地の方とコミュニケーションを取れていたんです。それは間違いを怖がらず、恥じらいなく英語を話せたからでしょうね。それで自信がつき、ますます英語を学びたいと思えるようになりました。

日本語はどのように教えていくのでしょうか。

金田 あいさつや「はい」「いいえ」などの基本的な言葉から始まり、ひらがな、カタカナの読み書き、文法を少しずつ教えていきます。日本のアニメや漫画が好きな生徒は習得がかなり早いです。語学全般に言えることですが、1週間に一度3時間勉強するよりも、1日10分を毎日継続したほうが絶対に伸びる。私も学生時代は、英語の映画を日本語吹き替えで観て内容を理解した後、2回目は英語字幕を付けてフレーズを覚える勉強法が好きで、長い間続けられました。日本語は同じ言葉でも多くの意味を持っていたり、逆に同じ意味でも言い回しが異なったりすることがあります。例えば「適当」という一つの言葉でも「ふさわしい」「いいかげん」と逆の意味を持つこともあるので、学ぶ側はもちろん、教える側も難しいですね。

教える時に気を付けているのはどんなことですか?

金田 目標に向けてモチベーションを保たせることですね。語学を身につける過程では、辛くなったり面白くなくなったりする時期が必ず出てきます。それでも辞めずに続けていくと、どこかでヒュッと伸びる時がある。その時期をどう支えるかが日本語教師の腕の見せ所です。先生が楽しそうにしていると、生徒もきっと楽しく学べると思います。そもそも私にとって教えることは趣味で、毎日が楽しいんです。私の座右の銘は「下手な授業は犯罪に等しい」。これまでうまく言語化できなかった思いを、ある大学の先生が言葉にしてくれたもので、1日3回は思い出します。

どんな時にやりがいを感じますか?

金田 やっぱり生徒の語学力が向上したと実感する時です。この前、最初は日本語がまったくできなかった元生徒とお茶をした時に「今日は僕が払いますよ」と高度な日本語で気持ちを伝えてくれて嬉しかったですね。また、専門学校で多くの留学生と関わるうち、福島県や郡山市がこれからも外国人を受け入れていくためには、子どものうちから異文化を理解する教育が必要だと感じるようになりました。そこで、外国人への日本語教育だけではなく、子どもたちに世界への可能性を広げていく活動をしたいと思い、2022年4月に専門学校を退職して起業したのです。現在も定期的に専門学校で留学生に授業をしながら、日本人に英語を教えたり、外国の文化を伝えたりするお仕事も増やしています。

子どもたちにメッセージをお願いします。

金田 まずやりたいことにはチャレンジしてみましょう。英語や日本語は得意ではなくても、少し話せるようになると世界が何倍にも広がります。ぜひ自分なりに楽しく学ぶモチベーションや方法を見つけてもらいたいです。

金田さんが授業のアイディアをまとめたノートと自作した教材。生徒一人一人のレベルに合わせた楽しい授業を心掛けているそうです。


お名前
株式会社EDU-Mo 代表取締役 日本語教師 金田 萌(かねだ もえ)さん
出身地
福島県郡山市
学歴
桜の聖母短期大学 英語学科
休日の過ごし方
ラーメン屋巡り
座右の銘
下手な授業は犯罪に等しい

※この記事はaruku2022年10月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。

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