広報|プロフェッショナル夢名鑑

企業の魅力を発信する広報の担当者にお話を聞きました。

試行錯誤しながらホテルの魅力を発信することは面白く、やりがいを感じます

社内で打ち合わせ中の竹田さん。理想の広報担当者は「お客様にも、サービスを提供するスタッフにも寄り添って商品の魅力が伝わる発信方法を考えられる人」と語ります。

普段のお仕事を教えてください。
竹田 私たちの会社は、郡山駅前にある2つのホテル「郡山ビューホテル」「郡山ビューホテルアネックス」を運営しています。ホテルといっても宿泊だけではなく、レストランやバーラウンジ、結婚式の会場としてもご利用いただいています。私は、ホームページやインスタグラム、フェイスブックといったSNS、広告などを通じて自社のレストランのメニューや結婚式会場などの魅力をお客様に発信する広報を担当しています。

入社8年目、広報担当は5年目とお聞きしました。広報担当になったいきさつを教えてください。
竹田 人の記憶に一生残る仕事をしたいと思いブライダル関連の学校で学び、入社当初は結婚式の演出を考える「ウエディングプランナー」として働いていました。そこで出会ったのが、結婚情報誌に載せる内容を考える仕事。現在は広報の業務として私が担当していますが当時はウエディングプランナーの仕事の一つで、どんな写真や文章がお客様の興味を引くか考えることがものすごく楽しかったんです。そこで、プランナーの仕事ではなく、本格的に広報の仕事を頑張りたいと会社に相談し、広報担当に移ることになりました。

SNSを活用した広報戦略も一から勉強してきたそうですね。
竹田 SNSは効果的に活用すれば、新しいお客様を呼び込んだり、つながりを継続させたりすることに役立ちます。しかし、私が広報担当になった当初は、SNSアカウントこそあっても積極的に投稿ができていない状態でした。私自身もSNSの知識がなかったので、広報に就任して最初の1年間は勉強が必要だと考え本を読んだり、セミナーに参加したりして勉強しました。SNSにも常に流行があるので、人気のある投稿を観察してトレンドを追うことは欠かせません。

情報を発信する際にはどんなことを心掛けていますか?
竹田 インターネットや紙のチラシ、雑誌や広告など、主なお客様として意識している「ターゲット」に適した方法を考えます。また、若いお客様は短く強い一言が印象に残りやすく、年齢層が高い方はしっかり説明する文章が刺さりやすい傾向があります。ですから同じ情報でも、ターゲットによって伝え方は変えています。
例えば、少し高級感のあるスイーツイベントのターゲットとなるのは、経済的に余裕があり流行にも敏感な20代後半から30代の女性。この世代のお客様に届けるには、インスタグラムでよく見られているハッシュタグ(#)をつける、ターゲットに読者層が近い雑誌に情報を掲載してもらうなどの方法があります。逆に、50代以上の年齢の高いお客様はじっくりと読んでいただけるような紙のチラシを直接お渡ししてアプローチすることが多いです。

広報で得たそのような知見を、実際にお客様と関わる社員の方に活用してもらうこともあるのでしょうか?
竹田 ウエディングプランナーには、お客様が契約前のご相談でいらっしゃった時にインスタグラムなどで反応が良かった写真をじっくりお見せしたり、好評だったフレーズをお客様の印象に残るように強調したりすることを提案します。逆に、お客様からのリアクションが良かった写真やフレーズを教えてもらい、広報に活かすこともあります。

広報の仕事の面白さはどんなところですか?
竹田 SNSの投稿や広告は、クリック数や「いいね」など数字で評価が目に見えてわかります。リアクションが多ければいいのですが、自分が考えた広報戦略とお客様が求めてることが違うと、まったく反応がないこともあります。でも、反応が少ないのも一つの反応。くよくよせずに素早く戦略を切り替えることを心掛けています。試行錯誤しながら反応を上げることは面白いですし、やりがいを感じます。

広報に向いているのはどんな人だと思いますか?
竹田 自社の商品に興味を持って、好きでい続けられる人です。私は自社が提供する宿泊・結婚式・レストランなどの商品は、どこにも負けないぐらい高いレベルのサービスである自信があります。自社の商品を好きでいられるからこそ、お客様にも全力でおすすめすることができるのです。食べたことも見たこともないものを紹介するなんて、私には無理。会社を代表して多くの人と関わる機会もあるので、商品の魅力を的確な言葉で表現するコミュニケーション能力も必要ですね。

子どもたちにメッセージをお願いします。
竹田 若いうちにいろんなことにチャレンジして、嫌いなことやできれば避けたいものをはっきりさせておくと、人生が豊かになると思います。私は昔から接客業に憧れがあり、学生時代は数多くのアルバイトを経験しました。一口に接客業と言ってもこちらからあまり提案できない仕事は合わないとわかったんです。好きだと思っていた「接客業」でも、自分に不向きな仕事もある。そのことを知れたからこそ心から楽しいと思えるホテルの仕事を見つけられ、広報の仕事にも出会えたのだと思います。もし将来の夢がないという人も、嫌いなものが明確になれば自然とやりたいことが見えてくるかもしれませんよ。

必需品は手帳・筆記用具・スマートフォン・パソコン。画面のインスタグラムのアカウントは竹田さんが手掛けるウエディングに特化したアカウント(@koriyamaviewhotel_wedding)。

お名前
竹田(たけだ)さん
好きな言葉
「愛嬌とは自分より強いものを倒す柔かい武器である」(夏目漱石)
休日の過ごし方
美味しいものを食べに行く

※この記事はaruku2023年9月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。

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