中学受検のプロに聞く!受検対策

ベスト学院県立安積中専門校 校舎責任者/廣谷 岳人(ひろや たけひと)さん
青森県生まれ。北海道の大学を卒業後、全国展開の学習塾で10年間講師を務め、2011年2月にベスト学院の講師に。小中学生向けには算数・数学・理科・社会科を、高校生向けには物理・化学を担当。2023年、ベスト学院県立安積中専門校の立ち上げと同時に校舎責任者に就任。
自分で解決できる力を身につける!
県立安積中学校は、首都圏の中高一貫校のような先取り教育ではなく、深掘り教育を基本としています。先取り教育であれば、とにかく子どもに負荷を与えクリアさせていくことが一つの勉強スタイルとなりますが、安積中対策という意味では、まずは自分が習ったことをしっかりと理解し、自分の力で解決できることをゴールとした学習が必要になります。ベスト学院でも、講師が目の前で解説したことや、映像授業を見て「そうなんだ」と思えたことを、1人になったときでもしっかり反復できるような学びを心掛けています。
自分から課題を求める力を身につけることも受検対策には重要です。自分の弱点を認めたうえで何をすれば良いのか。子どもの力だけでそれに気づくのは難しいことです。また、気づいているのに遠慮して質問できない子どももいます。身近な人に自分の弱みを見せられるようになれれば、受検に向けて何を強化すべきかが見えてきます。いきなり高い学びのハードルを与えるのではなく、まずは子どものマインドを変え、目の前にあることを自分の力で解決する体験を重ねることが、受検対策の第一歩だと思います。
「結果」よりも「過程」に目を向ける!
合格を目指して勉強に励むわけですから、良い結果になってほしいのは親も子どもも当然です。でも、私たちは親御さんに対して、結果だけでなく、結果に至るまでの過程にも目を向けてサポートして欲しいとお願いしています。課題に対する結果が同じ「できた」であったとしても、提出前日に急いでやった「できた」ではなく、一週間前から準備を重ねて「できた」を評価するような声がけをお願いしたいのです。
私たちが子どもたちとしっかり向き合えるのは、せいぜい一週間に1回か2回、それも、決して長く深い時間とは限りません。それ以外の時間をサポートしてあげられるのは、やはり親御さんしかいないのです。私たち講師は、第三者ほど遠くはない、ちょっと愚痴を言えるお兄さん、お姉さんといった立ち位置です。「塾に通わせておけば大丈夫」と思うのではなく、合格までの過程を共に歩んでいただくことが、子どもたちのモチベーションを保ち、目標を達成するための大きな力になるのだと思います。
合格へのカギを掴む!受検対策ステップ
ステップ1【小学3年生・4年生】受検に向き合う姿勢・習慣づくり
難しいことにトライさせる前の準備の時期。大人を納得させるための勉強や大人に怒られないための勉強ではなく、学びを自分事として意識させるための期間です。
ステップ2【小学5年生】課題克服に向けて「悩む力」をつける
希望の進路を勝ち取るために必要なものを知る時期です。今できることや今はまだできないことを理解し、できないをできるにするためにはどうすればいいかじっくり悩む訓練を重ねます。
ステップ3【小学6年生前半】実践に近い対策をスタート
5年生までに洗い出した課題や弱点に向き合いながら、実践に近い対策を始める時期です。難易度の高い問題にも少しずつ挑み、受検への意識を高めていきます。
ステップ4【小学6年生後半】
類題やより高度な問題に繰り返し挑みます。子どもの意欲が模試ごとに変化しやすい時期でもあるため、一律に課題を与えるのではなく、タイミングを計りながら適切な課題を与えていきます。
ステップ5【合格!!】
※この記事はaruku2025年6月号に掲載したものです。内容は取材当時のものです。