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公開日:
2025.10.31
更新日:
2025.10.31

生涯学習研究社|プロフェッショナル夢名鑑

生涯学習研究社|プロフェッショナル夢名鑑

学生や地域に学び続けることの大切さを説く生涯学習研究社に話を聞きました。

学校の学びは人生のほんの一部。“知らないことを知ること”を続けて欲しい

実家の理髪店の経営に携わったこともあり、さまざまな経験を経て18年前から学生に生涯学習の大切さを教えています。

―生涯学習の研究に携わることになったきっかけを教えてください。
三瓶 大学で生涯学習概論という科目を履修して、香川正弘先生という、後に生涯学習の権威となる先生と出会ったのがきっかけです。広島出身の香川先生は講義でも日常会話でも広島弁丸出しで、講義の内容よりもそれが面白くて出席していました。でも、話を聞いているうちに、学びは一生涯続くものなのだと気づき、強く興味を持ちました。教育学部だったので周りは学校の先生を目指す友だちが多かったですが、私には学校教育よりも生涯学習のほうが向いていると思うようになりました。

―大学の生涯学習の講義では具体的にどんなことを学ぶのでしょうか。
三瓶 人が生涯を通して学び続けることの意義や、その実践方法などです。大人になっても学びが必要だという考え方は今でこそ当たり前ですが、当時の日本でははまだ新しい考え方でした。学校教育って、人生100年時代といわれる現代においては、ものすごく初期の段階で終わってしまいますよね。そのほんの一時期の学びだけで社会を保てると考えるのはおかしいだろうという、いわば学校教育へのアンチテーゼの学びなんです。

―普段のお仕事について教えてください。
三瓶 半分は桜の聖母短期大学の教員として、特に地域づくりにまつわる授業を担当しています。もう半分は、生涯学習センター長として、地域にどう学びを開くか、大人の学習者にどうやって学びを推進していくかを考える役割を担っています。生涯学習センターでは年間約120の講座を開催していますが、そうした各講座の企画やスケジューリング、チラシの作成など、センターにまつわるほぼすべての業務に関わっています。どうやったら一人でも多くの方に受講していただけるか、一般の会社やお店の方と同じように悩み、考えています。

―授業を受けている学生さん達からはどんな反応がありますか?
三瓶 「先生の話を中学生のときに聞きたかった」といった反応をよくもらいますね。「生涯学習を中学校の必修科目に入れるべき」と言ってくれた学生もいます。

彼女達の中には、親や先生の言うまま「○○高校に行きなさい」と言われて進学し、試験の点数がこれぐらいだから「桜の聖母を受けなさい」と言われて入学している学生もいます。中学校や高校って、偏差値や学校のネームバリューといった基準をもとに選ぶことも多く、受験のための「勉強」せざるを得ないんですよね。でも、「勉強」と「学び」は、同じもののようで、まったく違うものです。そもそも、勉強って「強いる」という字を書くじゃないですか。私は知的好奇心そのままの駆動力として学んでほしいので、授業では絶対に「勉強」とは言わないようにしています。

学生に教えていてつくづく感じますが、短大生って2年学んだらすぐ社会人になってしまう。そんな彼女たちにメッセージとして残せるのは、「学びを重ねていかないとまずくない?」ということ。私も大学のときにそれを習っていたはずですが、当時よりも、教員になった今あらためて、身に染みてその大切さを感じています。

専門的な立場から見た生涯学習の面白さ、楽しさはどんなところですか?
三瓶 知らないことを知るということに尽きると思います。生涯学習と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、例えば誰かと話しているとき、自分にとって新しい話が一つ出てきただけでも、「生きてて良かった」と思うことってあるんですよ。その情報が自分が持つ他の情報とつながって、ジグソーパズルみたいにピタッと当てはまったときの、そのうれしさを得ること。それもまた生涯学習のようなものだと言って良いと思います。ぜひ大人になっても、“知らないことを知ること”を続けて欲しいです。

―子どもたちにメッセージをお願いします。
三瓶 どんなものでも良いので、夢中になれるものにとことん夢中になってほしいと思います。それがいつか自分の「軸」になるはずです。「軸」とは人間の体でいえば背骨のようなもので、軸ができたら、今度は筋肉をつけていって欲しい。ここでいう筋肉とは、軸となっている好きなものの周辺にあるもののことです。例えばお城が好きだったら、掘り下げるうちに城下町のことも掘り下げたくなってくるでしょう。そうして掘り下げる探求的筋肉が付けば、軸とは違うテーマを与えられてもきっと掘り下げていけるはずです。何でもいい、軸にしたいものを見つけて、それをとことん、楽しみながら調べて欲しいなと思います。

自称「接続詞部」部員。「人と人、人と大学、大学と地域、いろんなものを接続するような人間でありたいです」

大学の授業で福島市五十辺(いがらべ)地区の地域活性化プロジェクトを指導。地区にある龍洞(りゅうどう)神社のミニ鳥居やおみくじを生徒たちと手作りしました。

プロフィール

 

【お名前】
 三瓶 千香子(さんぺい ちかこ)さん
【最終学歴】
 上智大学大学院 教育学専攻 前期博士課程修了
【趣味】
 学ぶこと(知らないことを知ること)
【座右の銘】
 自分以外皆教師

※この記事はaruku2025年11月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。