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公開日:
2025.12.23
更新日:
2025.12.23

全国通訳案内士|プロフェッショナル夢名鑑

全国通訳案内士|プロフェッショナル夢名鑑

日本を訪れる外国人観光客を案内する国家資格「全国通訳案内士」について話を聞きました。

「ツールに頼らず自分の力で外国語を使えれば、心の通った交流ができるんです」

「人とは違うものを学ぶことに興味があった」という林さん。その興味を活かし外国語にまつわる仕事に就きました。

全国通訳案内士はどんな資格ですか?
 業務として外国人観光客を通訳・ガイドする権力があることを証明できる国家資格です。英語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・中国語・イタリア語・ポルトガル語・ロシア語・韓国語・タイ語で資格取得ができ、私は英語で取得しています。資格を持っていなくても通訳の仕事はできますが、観光案内の際に必要な語学力と知識を国家資格として客観的に示せる点が、この資格の大きな特徴です。

なぜこの資格を取得しようと思ったのでしょうか?
 母親がスペイン語やフランス語を勉強していたり、父親と韓国に遊びに行ったことがあったりしたことから、外国語を勉強することは面白いことだと、小さい頃から何となく感じていました。ただ、高校時代にアメリカへホームステイに行くまで、英語は受験科目の一つとしてしか認識していませんでした。ホームステイ先で実際に英語を使って生活したことで、言語がいかに人生に役立つものであるかを実感し、将来は外国語にまつわる仕事に就きたいと思うようになりました。その後、英語はもちろん、フィンランド語も勉強しました。

いろいろな言語があるなかでなぜフィンランド語を選んだのですか?
林 子どもの頃、親に「クリスマスに欲しいものがあったらサンタさんに手紙を書きなさい」と言われたことがある人は多いと思います。でも私はそのとき、「日本語で書いても通じないんじゃないか」と思いました。サンタクロースはどこにいるのか。親に聞いてみると「フィンランドにいるよ」と教えてくれました。その記憶が、フィンランド語を選んだ一つの理由です。学ぶ人が少ない言語のほうが仕事に活かせるのではないかという想いもありました。

―全国通訳案内士の具体的な仕事を教えてください。
 日本に旅行に来る外国人を行きたい場所に案内することが基本的な役割です。最近は、有名な観光地ではなく、まだ広く知られていない隠れた名所に行きたいという外国人観光客が多いですね。そんなオーダーに対して良いアイディアで応えることに一番苦労しますし、相手の興味に合う提案ができればとても喜んでもらえます。大学時代にはモンゴル語を学んだのですが、モンゴルからの旅行者に対して英語だけでなくモンゴル語も交えて案内し、「モンゴル語が上手だ」とほめてもらえたときは、過去の学びが役立ったと感じてうれしかったです。

資格を持っていることのメリットを教えてください。
 私は英会話スクールで英語講師もしていますが、資格が指導者としての信頼につながっています。私は一度の受験で合格できましたが、決して簡単な試験ではなく、2~3回受けてようやく合格する人も珍しくはありません。出題される内容は英語だけでなく、歴史や地理、日本の一般常識に関する問題もあります。一般常識に関する問題では相僕に関して出題される場合もありますし、歴史や地理は共通テストレベルで解答できなければいけません。それを知っている保護者の方からは信頼をいただけていると思います。

英語講師として子ども達と接するなかで日々どんなことを感じていますか?
 ベスト学院で生徒たちをアメリカに連れていく「アメリカ研修」というイベントがあるのですが、自ら積極的に英語を話す子がいる一方、最近はスマートフォンの翻訳アプリを使う子も少なくありません。どんな観光地に行っても現地の人と気軽に話せることが翻訳アプリのメリットですが、自分の力で話すことができれば、仲良くなれる可能性はより高まるはず。自分の力で外国語を使うからこそ心のかよっった交流ができるのだということを、子ども達にはぜひ知ってほしいです。

これを読んで全国通訳案内士の資格に興味を持った子ども達にメッセージをお願いします。
林 
「英語を話すのは白人のアメリカ人」というイメージを、漠然を持って子どもはまだまだ多いかもしれません。でも、全国通訳案内士の仕事ではアフリカ系の人をガイドするかもしれないし、中国系の人と接することもあるかもしれません。そうしたさまざまな国や地域にルーツを持つ人々に接することで、外国人に対する固定概念が薄れ、価値観を広げられます。それが全国通訳案内士の仕事の魅力だと思っています。受験資格に年齢制限はありませんし、英検1級かTOEIC900点で英語の一次試験は免除されます。また、二次試験では実際の通訳の場面を想定した面接もあるので、高校入試や大学入試前の場慣れ対策として受験してみるのも良いかもしれませんね。きっと価値のある経験になると思います。

郡山での指導を経て現在は東京で子ども達を指導中。「子どもの力にエリアの差はありません。大切なのは講師の指導力です」

東京外国語大学「外語祭ツアー」にて

プロフィール

 

【お名前】
 林 晋作(はやし しんさく)さん
【最終学歴】
 東京都外国語大学モンゴル科卒
 同大学院地域文化専修科卒言語学修士 
【趣味】
 ドラム、写真
【座右の銘】
 All work and no play makes Jack a dull boy.(仕事ばかりで遊ばないと退屈になる/よく学びよく遊べ)

※この記事はaruku2026年1月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。