2026年1月。長野のリンクに、福島県勢として実に14年ぶりとなる全国中学校スケート大会(全中)の舞台に立った佐藤あさひさんの姿がありました。昨年11月の東北大会で頂点に立ち、自らの滑りで歴史の扉をこじ開けての参戦です。
5歳の頃から彼女を導く稲葉コーチは、あさひさんの強さを「へこたれない心と、芯の太さ」だと語ります。「決して天才肌ではない」と言い切る稲葉コーチの言葉の裏には、あさひさんが氷の上に刻み続けてきた、実直な努力への深い信頼があります。
練習環境が限られる中、夜8時まで滑り込むなど、そのスケジュールは多忙を極めます。普段は磐梯熱海アイスアリーナで練習していますが、月に何度かは仙台にも練習に通っているといいます。技が決まらず悔し涙を流す日があっても、あさひさんは決して立ち止まりません。その悔しさを即座にエネルギーへと変え、練習を積み重ねることで「ミスの少ない演技」という最大の武器を身につけてきました。

163センチの長身、しなやかに伸びる手足がリンクに映えるあさひさん。競技のために大好きな甘いものは我慢していると語る笑顔には、あどけない中学生らしさが覗きます。
父の章人さんは「毎日の送迎など生活面でのサポートは欠かせませんが、自分で考え、努力が形になっていく姿は本当に頼もしい」とあさひさんの成長を静かに見守っています。
得意技は2回転半のアクセル。現在は3回転ジャンプというさらなる高みへ挑戦を続けています。「できなかったことができるようになる瞬間が、一番楽しい」。そう言い切る瞳には、アスリートとしての確かな意志が宿っています。全国という大舞台を駆け抜けた経験は、彼女の進む道をこれからも強く、美しく照らしていくはずです。次の舞台は10月の東北・北海道選手権。これを皮切りに、東日本選手権、そして全日本ジュニア選手権へと続く過酷な予選会が幕を開けます。高校生年代のジュニア選手たちとも競い合うことになる今シーズン。全国の舞台で手にした確かな手応えを胸に、一回り逞しくなったあさひさんが、再び秋のリンクで美しい努力の軌跡を描き出します。