コミュニティマネージャー| プロフェッショナル夢名鑑

起業相談やセミナーを通じて、チャレンジする人を応援するスペシャリスト。そんなコミュニティマネージャーの仕事内容ややりがいについて、伺いました。

チャレンジする人を応援することが、
地域経済の活性化に繋がればと思っています

プライベートでは一児の母。
家族の協力も受けながら、仕事と子育てを両立しています。

コミュニティマネージャーとは、どのようなことをするのですか?

三部 日本ではまだまだ認知度が低いですが、米国などで注目されている職種の一つです。
簡単に言えば、多様な人たちを繋いで共同体(コミュニティ)を運営管理する人。私の場合は、コワーキングスペースを運営したり、「スペシャリスト女子会」というコミュニティをつくったり、行政やほかの企業と連携してプロジェクトを立ち上げたりしています。そのようなコミュニティに参加する人たちのサポートもしています。

サポートの内容を詳しく教えてください。

三部 例えば、起業したいと考えている人が相談に来ます。その方にまずどんなことをやりたいのかをヒアリングします。起業って簡単じゃないから、想いだけあってもちゃんとスキルや計画がなければだめなんです。だから、安易にお勧めするのではなく、現実的な話もします。ビジネスモデルとして成功できそうかどうか、企業する覚悟はあるのかどうか、など。単に「サポートする」、というよりは、見極めてアドバイスしています。

客観的な目で判断するのですね。

三部 そうですね。相談内容も様々なので、私自身も勉強したり、積極的に人とつながって人脈を広げたりしています。応援するために行政のサポート事業を紹介することもありますし。そういった面では、私も常に情報を持ち続けなければいけませんね。

この仕事に興味を持ったきっかけは何ですか?

三部 もともと、読書会というイベントに参加したのがきっかけです。「街ぐるみ読書会」というもので、みんなで一冊の本を読んで、街のために何ができるかを考えるイベント。そこでの話を通して、企業がどんどん減っていく中で地域を良くする、というか経済の循環を生み出すために、会社を作ろうと考える人を増やす活動が大事なんじゃないかと思ったんです。それが、コワーキングスペースを作るきっかけにもなりました。

コワーキングスペースとは、どのような場なのですか?

三部 簡単に言えば、共同の仕事場ですね。会社の垣根を設けずいろんな人が働く場所です。ただ、最初は認知度もないからイベントスペースとしても利用できるようにしていて。そこから利用してくれた人が「ここってこんな使い方もできるんだ」と思ってくれるようになり、徐々に利用者が増えました。

主に、どのような方が利用しているのですか?

三部 業種も年齢も様々な人が利用していますよ。そうやって多様な考え方ができる人材がたくさん増えることで、地域が良くなればいいなと思っています。やはり地域をよくするためには人材ですから。そういった面では、働く場であり、人が育つ場でもあります。

この仕事のやりがいは何ですか?

三部 私自身、仕事を通じていろんな人と出会うのがすごく楽しいんです。もともと、結婚する前は新聞記者をしていて、その時から人と話をすることが好きだったんですよね。それに、夢を実現させた人から感謝されると本当に嬉しいです。

今後やってみたいことは何ですか?

三部 学校では学べない、ビジネス経験を通していろんなことを学ぶ場を作りたいと思っています。ビジネスって誰かに価値を提供して、対価をもらうこと。価値を提供する=誰かを喜ばせることができる、そういう経験ができる場を作りたいんです。例えば、子どもの作る「肩たたき券」は、実はビジネスに通ずるものなんです。紙に価値をつけるんですから。それよりもう少しレベルアップしたようなワークショップで、いろんな体験をしてもらいたいですね。BIZ(ビズ)育って言うんですけど、そういうのをやっていきたいです。

どんな人を対象にするのですか?

三部 子どもたちはもちろん、女性や大学生、会社員とか。いろんなカテゴリの人向けにコンテンツがある学びの場を学校としてブランディングしていけたらと思っています。プロセスを学んで経験したことをそれぞれの場で活かしたり、将来の夢に繋げたりしてほしいですね。失敗も成功もどちらも経験になりますから。

子どもの頃からいろんな経験をできるのは素敵ですね。

三部 そうですね。最近は高校生が相談に来ることもあるんですよ。「こういうことをやってみたい」「疑問を解決するためにこんなことができないか」など。思いはあるけど、具体的に何をしたらいいのかわからないんですよね。だから、具体的なアドバイスなどをしています。興味や関心を持つことは大人になってからも活かせるので、年齢関係なく相談してほしいですね。

子どもの頃から興味・関心を持つことが大切なのですね。

三部 はい。これからの時代、ますます多様な働き方ができるようになります。今想像できないことができるようになったり、想像できない仕事が生まれたり。その中で多様な生き方・働き方が可能になる時代だからこそ、今の常識にとらわれないでほしいですね。自分が何に向いているのかを見つけるのは難しいので、自分がわくわくすることはやる、にこだわってみてほしいです。やってみないとわからないこともあるし、興味があることには何でもチャレンジしてもらいたいですね。

運営するコワーキングスペースco-ba koriyama内で、相談に乗る三部さん。

地域クラウド交流会/行政と連携して、創業支援も積極的に行っています。

お名前
一般社団法人グロウイングクラウド 代表理事 三部 香奈(さんべ かな)さん
出身地
福島県須賀川市
出身校
東京女子大学英米文学科
座右の銘
置かれた場所で咲きなさい(シスター渡辺和子さんの言葉)
休日の過ごし方
家族と一緒にお出かけ

※この記事はaruku2019年5月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。

連載