郡山市

「溶連菌感染症」って何?

子どものための医療コラム

「溶連菌感染症」って何?
最近、「のどの痛みや体や手足などに発疹があり、この夏大流行した手足口病ですか?」といって受診されるお子さんがいます。しかし最近、「手足口病」ではなく「溶連菌感染症」という病気の場合が多くみられるようになってきました。溶連菌とは「溶血性連鎖球菌」の略で、この細菌が原因で起こる病気のことを総称して「溶連菌感染症」と呼んでいます。
のどの痛みと発熱が主な症状で、咳や鼻水、くしゃみといった普通の風邪のような症状はあまりみられません。また、体や手足などに赤くて細かい発疹が出たり、舌がイチゴのようにブツブツになったりします。検査はのどを綿棒でこすって溶連菌がいないかどうか調べます。外来では迅速診断キットで検査することが多く、10分程度で結果が分かります。
溶連菌感染症はウイルスが原因でおこる風邪とは異なり、細菌感染のためこの菌に有効なペニシリン系抗菌剤などを一定期間服用します。服用後1~2日くらいで熱が下がり、のどの痛みも改善します。途中で服用をやめてしまうと再発したり、「急性糸球体腎炎」や「リウマチ熱」などの合併症を引き起こすことがあります。このような合併症を防ぐためにも、医師の指示通りに最後まで服用することが大切です。
潜伏期間は2~5日で、急性期の感染力が強い病気ですが、抗菌剤を飲むとほぼ24時間以内に他の人への感染力がなくなります。治療開始後24時間を過ぎて全身状態がよければ、登園(登校)も可能です。体や手足に発疹が出ている時には入浴は控えましょう。家庭内で同じような症状がみられた場合は、かかりつけの医療機関を受診してください。また、治療してから1か月後くらいに、腎炎の合併症が起きていないかどうか医療機関で尿検査を受けることをお勧めします。
「手足口病」「溶連菌感染症」「突発性発疹」など、発疹が出て初めて病名のつく病気はたくさんあります。家庭で自己判断せず、症状が出たらそれは何の病気なのかを確定するためにも、かかりつけ医で受診してください。

お話をうかがった先生

さかい先生さかい小児科クリニック院長 酒井 英明先生
昭和大学医学部卒業。福島県立医科大学大学院修了。県内の総合病院勤務後、クリニックを開業。全国でも数少ない感染症指導医。

※この記事はaruku2019年9月号に掲載したものです。

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