郡山駅前

妊娠中、薬は飲まずに我慢?

女性のための医療コラム

「妊娠中、薬は飲まずに我慢?」
「まさか妊娠しているとは思わなかったので、これまでと同じように抗うつ薬を飲んでしまったけど大丈夫?」「花粉症でアレルギーの薬を処方された。『妊娠中です』と伝えたけど本当に飲んでも良いの?」これらは、妊婦さんから受ける質問のなかで、特に多いものの一例です。
日本では妊娠中は服用を禁止している薬(妊婦禁忌薬)が102種類と数多く、胎児が薬の影響を受けやすい妊娠初期(4週~7週の間)は特に気をつけなくてはなりません。妊娠中は薬の服用はなるべく避けて安静にすることが望ましいとされていますが、持病で薬を飲んでいたり、風邪をひいて辛い時など薬に頼らざるを得ない時もありますよね。その場合は自分で判断せず、まずはかかりつけの医師や薬剤師などの専門家に相談しましょう。(妊娠4週間未満の場合、まだ胎児の器官形成が始まっていないのでほとんど影響はありません)。

妊婦禁忌薬の見直し
現在数多い『妊婦禁忌薬』ですが、最近、潰瘍性大腸炎という難病の薬(妊婦禁忌薬に指定)を妊娠中服用し続けたけれども「母子ともに異常なし」、という報告がありました。このように多数の妊婦に投与されたけれども、胎児への影響は認められなかった薬が少しずつ妊婦禁忌薬のレッテルを外されてきています。(アメリカでは妊婦禁忌薬は日本の1/5の18種類)。いつも飲んでいる薬が赤ちゃんに影響がないか、代わりの薬はないか、など心配なことやわからないことがあれば、まずはかかりつけの医師や薬剤師などの専門家に相談しましょう。
反対に、妊娠初期に摂取したほうがいいものは「葉酸」です。妊娠初期に十分摂取することにより、赤ちゃんの神経管閉鎖障害の発症リスクを減らすことができます。また、造血を促す働きがあり、妊婦貧血を予防する効果があります。薬やサプリメントを上手く付き合いながら、健康な赤ちゃんを育てていってくださいね。

※妊娠と薬に関する情報はこちらを参照
国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/

お話をうかがった先生

170524_0富永國比呂先生
1975年、岩手医科大学医学部卒業、東京衛生病院産婦人科医長を経て、米国ロマリンダ大学大学院博士課程修了。日本産科婦人科学会専門医、日本性感染病学会会員、医学博士、米国公衆衛生学博士(Dr.P.H.)、国際個別化医療学会幹事、Personalized.Medicine Universe査読委員。

※この記事はaruku2018年6月号に掲載したものです。

連載