郡山市プチ・フルール勤務フラワーコーディネーターにインタビュー

「花は常に身近にあるもの。それほど花が好きなんです。」

五十嵐さんはもともとお花が好きでこの仕事に就いたのですか？

五十嵐　いいえ、花が好きになったのはこのお店で仕事をするようになってからですね。それまではお花に関する勉強も特にしていませんでした。学生時代はショーウィンドウのディスプレイがしてみたくて、専門学校でグラフィックデザインの勉強をしていたんです。

この仕事を選んだのは、何かきっかけがあったのですか？

五十嵐　いざ社会に出たときに今までの勉強を活かした仕事に就きたいなあと、ぼんやりとですけど思っていたんです。このお店で働くことになったのは本当にたまたまでしたが、今思うと店主の鈴木さんに「生花店にとらわれないセンスや遊び心を持っている」と言ってもらえたことがきっかけだったのかなと。お花のことは全然わからなかったけど、いろんなことに挑戦できそうだと思い、この業界で働こうと決めました。

ドライフラワーや雑貨、カゴなど使った作品は可愛らしいものばかり

どんなふうに花について覚えていったのですか？

五十嵐　もう仕事をしながらですね。毎日花に接しているうちに種類や処理方法、手入れやアレンジの仕方を覚えました。花は水揚げの仕方や室温など、ちょっとした変化に影響を受けやすい生き物なので、時には配置を変えてみたり先輩スタッフに相談したり専門書を引っ張り出したり･･･仕事をして10年経ちますが、いまだ日々勉強ですね。でも、もともと何にでも興味を持つ性格だったので、花のことを知るのは今でもすごく楽しいです。

お店では普段どんなお仕事をしているのですか？

五十嵐　先ほど言った花の手入れや水やり、ディスプレイや接客が主な仕事です。その場で買いに来たお客様に提供するので、ラッピングなども手早く丁寧に制作しなければなりません。その他に、私はフラワーコーディネーターとして市内の結婚式会場を装飾したり、ブーケを製作したりするブライダルも担当しています。直接新郎新婦のお二人と打ち合わせをして、会場をどんなイメージにしたいか希望を聞き、会場の雰囲気に合わせて一からコーディネートしていきます。一度に大量の生花を使うので大変ですが、花屋ならではのアレンジを加えるのでそこは腕の見せどころですね。ブライダルの他にもショップやレストラン、イベントや舞台などの会場の装飾をすることもあります。

すごく華やかそうに見えるお仕事ですが、どんなことが大変だなと思いますか？

五十嵐　この仕事はとにかく体力勝負なことですね。何十kgもある植木鉢を運んだり、バケツの水を毎日取り替えたり、ダンボールで届くお花を運び上げたりと、8割が力仕事。冬は暖房を使えないので一日中寒いですし、アルバイトさんとかが華やかなイメージで来ると、そのハードさに驚く方もいます。

お客さんの好みの花や
色を聞きながら選んでいく五十嵐さん。

お店にある五十嵐さんのアレンジは本当に色々ありますが、アレンジやデザインはどんな風に勉強しているのですか？

五十嵐　私はフラワーデザイナー1級の資格を持っていますが、資格よりもやっぱり経験やセンスが問われる仕事だと思いますね。私は雑貨店や他の花屋さんにも行くのが好きですが、いろんなディスプレイや作品を見て「私もこんな風に作ってみたい」「この雑貨を使って新しいアレンジをしたい」と、そういった所で刺激をもらい次への意欲につなげています。そこからは自分で試行錯誤しながら作り上げていますね。新人の頃は何でも作ってやってやろうという勢いがありましたが、今は10年目ならではの感性が出てくるようになったと思います。他のスタッフよりいいものを作りたい、みんながやらないことをやりたいって思いも強いのかもしれませんね。これからも感性は常に高く持っていたいです。

五十嵐さんにとって花はどんな存在ですか？

五十嵐　一昨年の震災のとき、しばらくお花にさわれなかったので、早く仕事がしたい～！とずっと寂しい思いをしました。だからお店が再開したときはすごくほっとしましたね。そのくらい花が好きなんです。この仕事ができて本当に幸せだなと思いますよ。花屋さんて、お店に入ったら絶対に買わないといけない、もしくは買う目的がないとお店に行けないイメージがあるかと思うんですが、別に見るだけでもいいんです。気に入ったものがあれば買う、くらいの感覚で気軽にお店に来てほしいですね。お花は見ているだけで楽しいと思いますし、みなさんにもっと身近な存在になってもらえたら嬉しいです。