郡山駅前

ストレスは卵巣の働きにダメ-ジを与える!?

女性のための医療コラム

「ストレスは卵巣の働きにダメ-ジを与える!?」

ストレスが起こる仕組みと症状
生理が遅れている、最近肌あれがひどい、よく眠れない、イライラして食べ過ぎたり、逆に食欲が無くなったりする…そんな症状を、ストレスだから、夏だから、と片づけていませんか?それらは知らず知らずのうちに、大切な女性機能にもダメージを与えているかもしれません。
イライラしたり生理不順等が起こるのは、「ストレス」「女性ホルモン」「自律神経」が、お互いに密接に関わっているためだと言われています。卵巣から分泌される女性ホルモン、そして生命活動に影響を与える自律神経は、どちらも脳の視床下部に司令部があります。通常ならバランス良く伝達される2つが、ストレスなどによってどちらかに異常が生じると、お互いに影響を及ぼしてしまいます。その結果、身体に様々な不快な症状が起こるのです。
特に第一線でバリバリ働いている20~30代の女性は、仕事や恋愛、結婚、家庭、人間関係などからストレスを抱えている方が多いと思います。最近は、幼少期から受けてきた様々なトラウマに悩む女性も少なくありません。持続するストレスは睡眠障害、拒食・過食、情緒不安定などの他、卵巣の周期をも乱し女性ホルモンの分泌を抑え、月経不順や排卵障害、ひどい時には不妊をもたらすこともあります(1)。

ストレスを溜めないようにするには?
ストレス学説をはじめて唱えたセリエ博士は、1935年にメスのマウスに飢餓というストレス要因を加えて、卵巣に対する影響を調べました。その結果、卵胞(卵子を入れているふくろ)の成熟が抑制され、排卵が障害されることが分かりました。一方、米国エモリー大学のサラ教授は、心理療法や行動療法によって、排卵周期が回復することをはじめて証明しました(2)。最近、体の調子がでない方や気分が安定しないなど感じたら、身近なストレスやライフスタイルを見つめ直してみてはいかがでしょう?それでも症状が回復しない場合は、婦人科を受診したり、かかりつけの医師に相談してみてください。

(1)J Reprod Immunol. 2004 Jun;62(1-2):61-8
(2)Science Daily:Jun21,2006)

お話をうかがった先生

170524_0富永國比呂先生
1975年、岩手医科大学医学部卒業、東京衛生病院産婦人科医長を経て、米国ロマリンダ大学大学院博士課程修了。日本産科婦人科学会専門医、日本性感染病学会会員、医学博士、米国公衆衛生学博士(Dr.P.H.)、国際個別化医療学会幹事、Personalized.Medicine Universe査読委員。

※この記事はaruku2018年8月号に掲載したものです。

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