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福島ならでは冬のあったか郷土料理って?

気候や行事が生んだ食。

会津、中通り、浜通り、それぞれに独特の食文化があります。
特に雪深い会津の食を、食文化研究家の平出先生に教えてもらいました。

福島に住んでいると気付きにくいけれど、会津、中通り、浜通りの食文化は、それぞれとても個性的です。
「盆地で豪雪の会津ですが、日本海から塩蔵・干物の魚介が多く入りました。また冬は野菜が7種類しかないので、夏の間に獲れた野菜を切って干して、紙に包んで囲炉裏の上に保存していました。保存食を組み合わせた料理が多く、歴代藩主の影響も色濃く残ります。2月は乾燥するから、火の用心のために午前中は煮炊きをしない風習もあったんですよ。浜通りは、太平洋の新鮮な海の幸が豊富で、山の物も豊かですね。中通り阿武隈山地は、凍み餅・凍み豆腐・凍み大根という三大凍み文化の土地柄。山から吹き降ろすからっ風が冷たくて乾燥してるでしょう。他の地域より良く乾燥するのね。『いかにんじん』も福島独特のものですよね。会津は日本海経由で伝わったから、昆布が入った『松前漬け』なんです。」

年中行事を通して伝えられてきた料理も少なくありません。
2月の行事、節分以外に知っていますか?正月の次の一日である2月1日は、「次郎の一日」と言って、葛餅や粉餅を食べたとか。4日の初午は、お稲荷さんに稲荷寿司と赤飯をセットでお供えします。8日の「事八日(ことようか)」には豆腐で針供養をします。棚倉には「おこと汁」という、小豆入りのざくざく汁のような料理もあるそうです。
「昨年、 和食がユネスコ無形文化遺産になったでしょう。地元の食材が年中行事を支えてきましたから、この機会に見直して、記録しておくと良いですね。」

体が温まる福島の料理を平出先生に作ってもらいました!


平出 美穂子先生(ひらいで・みほこ)
福島県立テクノアカデミー会津
観光プロデュース学科非常勤講師
嫁ぎ先が 天保年間から続く会津の商家で、舅姑さんに教わりながら 伝統の年中行事を手伝ってきた。「ならぬことはならぬ」の 教えを知ったのをきっかけに郷土料理を研究するように なり、「分かる人が少なくなってしまう前に」と、精力的に県 内各地をまわって情報収集。著書多数。1月にも『古文書に 見る会津の食文化』(歴史春秋社)を出版したばかり。

※この記事はaruku2014年2月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。

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