「不動産の知識だけでなく、人とのつながりや信頼も大切な仕事です」

祖父の代から続く不動産業を承継。時代に即した広告展開にも取り組む横山真社長
―宅地建物取引士とはどんな仕事を担当する人ですか?
横山 不動産の売買や賃貸の契約のとき、お客様が安心して取引できるようサポートする国家資格保有者です。略して宅建士(たっけんし)とも呼ばれ、契約の書類を作成したり、契約前に物件や契約内容について重要な事項をわかりやすく説明したりします。
不動産の売買は人生で一度経験するかどうかの大きな取引です。そのため宅建士には、法律や制度に沿って説明をするだけでなく、お客様の不安をきちんと汲み取り、一つひとつ丁寧に説明することが求められます。資格があることは大前提ですが、土地勘や人とのつながり、そして何よりお客様から信頼していただくことが欠かせない仕事です。
―なぜ宅建士になったのですか?
横山 有限会社横山ビルは、祖父の横山徹が創業した会社です。現在会社がある郡山市富田町周辺がまだ田畑ばかりだった頃、区画整理によって街が形づくられていく中で、祖父が賃貸住宅を建てたことが会社の始まりです。
自社物件の賃貸経営や管理が中心でしたが、不動産に関する相談にきちんと応えたいと思い、宅建士の資格を取得しました。その後、売買や賃貸の仲介にも仕事を広げました。
ただ、私はもともと不動産の仕事を目指していたわけではありません。どちらかというと理系志向で、プログラマーになりたいと思っていた時期もありました。それに、以前は人と話すのが苦手だったんです。でも、この仕事は「人とは話せません」ではやっていけません。会社を継ごうと決めてからは、心理学や人との接し方についての本を読んだり、鏡の前で笑顔の練習をしながら、少しずつ勉強しました。
―不動産業の楽しさ、やりがいを教えてください。
横山 一番やりがいを感じるのは、お客様から「ありがとう」「相談してよかった」と言っていただけた時です。お話を聞きながら一緒に考え、その方に合った答えを見つけていくところに、この仕事の面白さがあると思っています。
それを改めて実感したのが、2021年に大腸がんと診断され、治療を続けていた時でした。後遺症や治療の副作用で体調がすぐれない日もありましたが、お客様と話している時間だけは、不思議とつらさを忘れることができたんです。
病気を経験して、「自分はこの仕事が本当に好きなんだ」と改めて気づきました。お客様の力になりたいと思って続けてきましたが、振り返ると、私自身もお客様との出会いや言葉に支えてもらってきたのだと思います。
―お客様と接する際に心がけていることを教えてください。
横山 まずは、お客様の話にしっかりと耳を傾けることです。不動産の売買や引っ越しは、人生の節目で経験することが多く、新生活をはじめる方もいれば、さまざまな事情を抱えて相談に来られる方もいます。だからこそ、物件や契約だけでなく、「なぜ今、この方は相談に来られたのか」というお客様の背景にも目を向け、その方に合った答えを一緒に探すようにしています。
―今後どのように事業を続けていく予定ですか?
横山 今はインターネットで物件を探し、地図で周辺環境まで確認できる時代です。さらに近年は、AIの進歩と普及によって、情報を調べたり発信したりする方法も大きく変わってきています。当社でもAIやSNSを活用しながら、小さな不動産会社だからこそできる新しい情報発信に挑戦しています。
一方、どれだけ技術が進歩しても、不動産を扱うのも、そこに住むのも、最終的には「人」です。AIに任せられる仕事が増えても、お客様の事情をお聞きしたり、不安に寄り添ったりする「人」の仕事はなくならないと思っています。今後も「困ったときには相談しよう」と思っていただける存在であり続けたいです。
―これから進路を考える子ども達にメッセージをお願いします。
横山 「将来何になりたい?」と聞かれても、まだよく分からないという人もいると思います。でも、今の時点で無理に答えを見つけなくてもいいんじゃないかなと思います。
私自身、最初から不動産の仕事をしたかったわけではありませんし、人と話すことも得意ではありませんでした。それでも、今までの経験の中で、たくさんの人と出会い、やりがいを感じる仕事に出会うことができました。
だから、今だけを見て「自分には向いていない」「自分にはできない」と決めつけないでほしいです。いろいろなことを経験して、人と出会って、少しでも「やってみたい」と思ったことには挑戦してみてください。その経験や出会いが、今は想像もしていない自分の未来につながっていくかもしれません。

「人と話すのが苦手だった」という話が噓のよう!終始笑顔で取材に応じた横山社長

お客様のご希望やお悩みに寄り添い、常にベストな住まいを紹介できるよう心がけています
プロフィール
【お名前】
横山 真(よこやま まこと)さん
【趣味】
映画鑑賞(特にミステリー)謎や伏線を考えながら観るのが好きです。
【座右の銘】
一期一会
※この記事はaruku2026年10月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。