close close
close close
新店舗情報

新店舗情報

最新記事

最新記事

開成山公園

開成山公園

連載

ランキング

クーポン

クーポン

公開日:
2026.9.4
更新日:
2026.9.4

バリスタ|プロフェッショナル夢名鑑

バリスタ|プロフェッショナル夢名鑑

コーヒーと共に過ごす時間を演出するバリスタに話を聞きました。

「一杯のコーヒーで人を幸せな気持ちにできる仕事です」

佐藤郁枝さん

10年にわたるバリスタ経験を経て、自身のお店を開くという夢を叶えた佐藤さん。

バリスタとはどんな仕事ですか?
佐藤 一般的には「コーヒーを淹れる人」というイメージが強いと思いますが、それだけがバリスタの仕事ではありません。例えばワインのソムリエは、ただワインを注ぐだけでなく、食事との組み合わせを考えながらワインを味わう時間そのものをお客様に提供します。私が考えるバリスタもそれと同じで、おいしいコーヒーを淹れる技術はもちろん、コミュニケーションやおもてなしの心も含めてお客様にサービスを提供する仕事です。

―バリスタを目指したきっかけを教えてください。
佐藤 商業系の大学で学び、卒業後は一般企業で経理や事務として働きました。転機となったのは東日本大震災です。浜通りで友人が亡くなったり、同級生が避難所で支援活動をしたりするなか、「自分にできることは何もない」と無力感ばかり抱いていました。誰かのために何かをしたい気持ちはあっても、自分に何ができるのかわからなかったんです。
そんなとき、とあるカフェで初めてラテアートに出会いました。500円ほどのカフェラテをいただいただけなのに、とても幸せな気持ちになりました。「たった一杯の飲み物でこれほど人の心を動かせるのか」と衝撃を受け、「これなら自分も誰かを幸せにできるかもしれない」と思って、コーヒーの道へ進むことを決意。郡山市内の老舗喫茶店にアルバイトで入りゼロから学び始めました。その後、別のお店でも経験を重ね、業界のさまざまな先輩方との出会いに恵まれながら今に至っています。

2025年10月にオープンしたご自身のお店「salon de cafe SUCLIER(シュクリエ)」をオープンしました。お店にどんな想いを込めていますか?
佐藤 最初に働いた老舗喫茶店でパティシエをしていた主人と2人で開いたお店です。目指したのは、どこか懐かしく、ほっとできる空間であること。流行りのカフェのようなおしゃれさだけでなく、昔ながらの喫茶店が持つ温かさや居心地の良さも表現したいと思いました。今の店舗は以前も喫茶店として使われていた築50年の建物で、当時のお店の壁もあえてそのまま生かしながらリフォームしました。コーヒーやスイーツを楽しむだけではなく、「また行きたい」と思っていただけるお店でありたいと思っています。

お客様に喜んでいただくためにどんな工夫をしていますか?
佐藤 おすすめは、主人が作るスイーツと私が淹れるコーヒーを一緒に楽しんでいただくことです。どちらかが主役になるのではなく、それぞれの魅力を引き立て合うことを大切にしています。今後作る予定のスイーツの内容がわかれば、そのスイーツにはどんなコーヒーが合うか、コーヒー豆を提供してくださる焙煎士さんに相談することもあります。
以前は「コーヒーは苦い」というイメージが強く、苦みが強い深煎りのコーヒーが人気でしたが、最近は日本でも新鮮で品質の良い豆が手に入るようになり、そうした新鮮な豆を使った浅入りのコーヒーを好む方も増えてきました。お客様との会話を通じてお一人おひとりの好みを知り、その好みに合った一杯を提供したいと思っています。

仕事のやりがいを教えてください。
佐藤 一番うれしいのは、これまでコーヒーに馴染みのなかったお客様にコーヒーのおいしさを知っていただけたときです。以前、とても品質の良い浅煎りのコーヒー豆が手に入ったことがあり、試飲でお客様にお出ししたところ、20歳ぐらいの女性が「コーヒーってこんなにおいしいんですね!」と驚いてくださいました。それまでコーヒーは苦手だったそうですが、それをきっかけに何度もお店に足を運んでくださるようになりました。一杯のコーヒーでお客様の価値観が変わる。そのきっかけになれることが、この仕事の一番のやりがいだと感じています。

これから進路を考える子ども達へメッセージをお願いします。
佐藤 まさか自分がコーヒーの世界へ進むとは思っていませんでしたから、人生はどんな出会いや出来事がきっかけで変わるかわからないものだなと実感しています。やりたいことに対して最初から「向いている」「向いていない」と決めつける必要はありません。やってみることで初めてわかることもたくさんあるはず。興味を持ったことにはどんどん挑戦してほしいですし、「自分はどんなことで人を笑顔にしたいのか」「どんなことで人の役に立ちたいのか」を考えることが、自分らしい進路を見つけることにつながると思います。

ラテアートを描く。いつも笑顔の佐藤さんが真剣な表情に変わる瞬間。

ラテアートを描く。いつも笑顔の佐藤さんが真剣な表情に変わる瞬間。

以前も喫茶店だった空き店舗を改装。趣きある当時のお店の壁をそのまま活かしたそう。

以前も喫茶店だった空き店舗を改装。趣きある当時のお店の壁をそのまま活かしたそう。

プロフィール

 

【お名前】
 佐藤 郁枝(さとう いくえ)さん
【最終学歴】
 東北学院大学経済学部経営学科
【趣味】
 漫画を読んだりアニメを見たり
【座右の銘】
 ケセラセラ

※この記事はaruku2026年9月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。