郡山駅前

卵巣がんが増えている!?

女性のための医療コラム

「卵巣がんが増えている!?」
卵巣は子宮の両脇にある親指大の臓器で、女性ホルモンの分泌や排卵に関わっています。卵巣にできたがんを、卵巣がんと言います。年代別でみると罹患率は40代で増え、50代前半でピークを迎えます。乳がんと比べ発症する割合は低いですが、自覚症状がなく、見つかったときはすでに進行した状態になっているケースが多い、怖い病気です。1年間に卵巣がんと診断された患者数は約8,000人、そのうち約4,000人が亡くなっています。これは乳がんよりも高い死亡率(乳がんは30%)です。40年前と比べ、卵巣がんと診断される人は約4倍に増えており、徐々に増えているのが現状です。

Q:どんな人が卵巣がんに注意するべき?
A:母親や姉妹など近親者に卵巣がんにかかった人、妊娠・出産歴がない人、チョコレートのう胞がある人は発症確率が高くなると言われています。早期診断が難しいので、子宮がん検診のときに一緒に卵巣も確認することで発見確率が高くなります。下腹部にしこりが触れる、急激なおなかの張りや痛みがあるなど、気になる症状がある場合には、早めに受診することをお勧めします。また、過剰な乳製品の摂取が、卵巣がんの発症と関係している(ハーバード大学クレイマー博士による説)とも言われており、お酒やたばこ、糖分や脂肪分などと同様、何事も摂りすぎを控えることが予防のひとつと言えるでしょう。

Q:発症した際の治療法は?
A:卵巣がんには抗がん剤や、手術による子宮や卵巣、隣接しているリンパ節の切除などを症状に応じて行います。また、卵巣がんに効果が期待できる最新医療として「高濃度ビタミンC点滴療法」があります。化学療法の併用で、卵巣がんの進行や副作用を抑制できる実験結果が上がっており、実際にこの療法で1年以内に70%再発すると言われていた患者が、5年経っても再発しないという発表がありました。この他、がん遺伝子治療、免疫細胞治療法などが効果を期待できる治療法もあり、研究が進められています。

お話をうかがった先生

170524_0富永國比呂先生
1975年、岩手医科大学医学部卒業、東京衛生病院産婦人科医長を経て、米国ロマリンダ大学大学院博士課程修了。日本産科婦人科学会専門医、日本性感染病学会会員、医学博士、米国公衆衛生学博士(Dr.P.H.)、国際個別化医療学会幹事、Personalized.Medicine Universe査読委員。

※この記事はaruku2018年4月号に掲載したものです。

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